おすすめの古典落語は?と聞かれると多くの人は「饅頭こわい」「芝浜」や「時そば」をおすすめの演目としてあげるのではないでしょうか?
確かに落語は古典、新作を合わせると数えきれないほど数がありますから、初めて聞く落語が難しいものだと落語に対して苦手意識が生まれてしまうので、知名度もあり分かりやすい演目をおすすめするのは分かります。
しかし今回は、少し通常とは趣向を変えて落語好きがおすすめする、中々紹介はされないけど面白い古典落語を10席ご紹介したいと思います。
有名な落語はいくつかは聞いた事あるけど、、なんて方には楽しめるチョイスになってると思うので聞いた事の無い噺があれば是非聞いて頂ければ幸いです。
① 古典落語『文七元結 ぶんしちもっとい』
中国で伝承されてきた話を元に三遊亭圓朝が創作した人情噺の傑作。
集金した金をなくして身投げしようとする文七と、その文七に娘の身売りの金を与えて救う左官の長兵衛の漢気溢れる感動のストーリー。
落語だけではなく歌舞伎でも演じられる事のある人情噺の超大作です。
「文七元結」あらすじはこちらから
② 古典落語『雛鍔 ひなつば』
上方落語では、「お太刀の鍔」として演じられる「雛鍔」
子育てはいつの時代も大変だったようで、主人公の息子は口を開けば銭をせびる。ある日、親父が武家の庭で仕事をしていると、そこの若様が庭に出て来て穴あき銭を拾うが、若様は穴あき銭を知らず「お雛様の刀の鍔だ」と言った。
その事にえらく関心した父親は自分の息子にその話を聞かせるのだが・・・
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③ 古典落語『悋気(りんき)の火の玉』
現実にはありえないような話も、笑いながら聞けるのも落語の魅力ですね。
女房一筋だった旦那が、ある日付き合いで吉原遊郭に行ってしまったのだが、歳をとってからの女遊びは危険とは昔から言っていたようで、案の定旦那は、吉原にはまってしまいました。
女房の嫉妬と妾の嫉妬。女の嫉妬をテーマにした名作古典落語です。(ちなみにテーマは重いですが、そこは落語。ものすごく面白い噺ですので是非ご覧下さい)
「悋気の火の玉」あらすじはこちら
④ 古典落語『星野屋』
「悋気の火の玉」もそうですが、私は落語の噺の中で男女の物語は特に大好きなんです。
この星野屋も廓噺(くるわばなし)の一つで、男女の騙し合いがテーマになっています。
全ての落語に共通するのですが、落語は耳で聞いて頭の中で情景を浮かべ楽しむものだと思っています。この星野屋も是非音源を探してみて下さい。おすすめです!
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⑤ 古典落語『本膳』
日本料理の作法といいますかマナーのようなものをテーマにした「本膳」
ある村の庄屋の家で結婚式が行われたのだが、そのお返しに村の者達を集めてご馳走を振る舞うという。しかし、村の者達は誰も本膳の作法・礼式を知らなかったのだ。
結局、村はずれに住む手習いの師匠の所へいき、付け焼刃で作法を教えてもらう事にしたのだが・・・
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⑥ 古典落語『妾馬 めかうま』
別題が「八五郎出世」なのですが、近年では前半部分で終わる事が一般的なので「八五郎出世」の題で演じられる事が多いかも知れません。
ごく普通の町人がある切っ掛けでお殿様と話す事になるのですが、全く話が噛み合わない様が非常に面白いんですが妙に泣ける。爆笑あり涙ありの名作人情噺を是非お聞き下さい。
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⑦ 古典落語『宮戸川』
この「宮戸川」も最近では前半部分でサゲる事も多い演目です。
女から仕掛ける恋の話なのですが妙にドキドキして好きな噺です。落語は脳の活性化になるなんて聞きますが、耳で聞いてドキドキ出来る話っていいものですよ。
後半部分も通しでやる落語家さんもいるのですが、後半はガラリと雰囲気が変わるので余程の実力者じゃないと難しい演目かもしれません。
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⑧ 古典落語『三方一両損』
三方一両損って言葉は今でも残っている言葉ですね。時代劇でも見られる「大岡越前」の名裁きが見られるお話。
ある日主人公の男は3両の銭を落としてしまった。しかし、律儀にもその銭を届ける男がいたのだ。落とした男は落とした時点で三両は俺のものじゃないと言い張る。拾った男は貰う為に届けたんじゃねぇとこちらも譲らない。
三両を拾った男と三両落とした男の義理堅い掛け合いが何とも楽しいです。
大岡越前はこの件をどうやって解決するのか?お楽しみ下さいませ。
「三方一両損」あらすじはこちら
⑨ 古典落語『お直し』
私の大好きな廓噺(遊郭を題材にした話)の中でも落語初心者には比較的難しい部類に入るかと思われる「お直し」
昔の最下級の女郎屋では料金は線香一本分でいくらと決まっていました。
そして線香を一本新しく変えてもらう事を「お直し」と言い、店の主人は延長料金を稼ごうと「直してもらいなよ!」と声を掛けていたんですね。
中々予備知識が無いと分かりにくい噺ではありますが、意味が分かった時の面白さは格別ですよ。
ただ近年では中々披露する落語家さんが少なく高座で聞ける事も少ないのが残念ではあります。
「お直し」あらすじはこちら
⑩ 古典落語『首屋』
落語には江戸時代にあった商売を題材にした作品が数多く存在しますが、この「首屋」もそのうちの一つ。
大きな風呂敷を担いだ男が「首屋~首屋~」と町を流しています。この男、何をやっても上手くいかない事から自分の首を売り歩いてるのです。
誰がそんなもの買うんだって話ですが、とある殿様がこの首屋に興味を示し買おうと言い出したのです・・・
個人的に凄い好きな噺なのですが、中々音源が無くあまり聞けていない演目なんですよね。もっと現代の落語家さんにも演じて欲しいとの願いも込めてご紹介しました。
ちなみに、一見怖い話のように聞こえますが、爆笑してしまう馬鹿馬鹿しいお話ですのでご安心を。
「首屋」あらすじはこちら
最後に
古典落語の中でも、ちょっとマニアックなお話を10席ご紹介しましたがいかがだったでしょうか?
「知ってるよ!」って声も多数挙がるかもしれませんが、超有名古典落語は知ってるけど、それ以外にも聞いてみたいなって方には参考になるかなと思って選んだので、もし聞いた事の無い演目があったら是非聞いて欲しいと思います。