今回ご紹介する古典落語は読むのも一苦労するような演題が付いています。「紫檀楼古喜 」こう書いて「したんろうふるき」と読みます。
タイトルがこうも難しいと内容もさぞかし難しいと思うと思いますが、その通り!内容も中々難しい落語となっています。
前回、ご紹介した古典落語「首屋」が江戸時代の珍しい商売を題材にした噺だったので、その繋がりで今回「紫檀楼古喜 」をご紹介しようと思いました。なるべく分かりやすく書いてみようと思いますので是非最後までご覧くださいませ。
江戸時代の珍しい商売を題材にした落語「首屋」のあらすじはこちら
古典落語 紫檀楼古喜
昔は今に無い様々な変わった商売がありました。羅宇屋(らおや)もその一つ。
煙草が現在のような紙巻になる以前は、雁首(がんくび)と呼ばれる火皿に刻みたばこを詰めて火を付け吸い口から吸っていた。その雁首と吸い口をつなぐのが細い竹で出来た羅宇で、良質な羅宇はラオスから輸入されていたようでその名が付いたと言われている。
雁首と吸い口は金だが、羅宇は消耗品なので使っていれば不具合が出てくる。それを交換する商売が羅宇屋で、様々な道具を背負い「羅宇屋~」と町を流し歩いていた。
あと一つ。狂歌についても少し解説を入れると、狂歌とは簡単に言うと社会風刺や滑稽を盛り込んだ和歌の事。
そして紫檀楼古喜は実在した狂歌の名人。狂歌にのめり込み商売をしくじり財産を失った為、晩年は羅宇屋に転落したという。
あらすじ
「らおやぁ~。きせる~。」
紫檀楼が町を流していると、とある屋敷の前で女中に呼び止められキセルのすげ替えを頼まれた。
作業を終え、仕上げに吸い口からふっふっふっと息を吹き込んで確かめていると、それを見ていたキセルの持ち主のご新造が、汚いとケチをつけます。
これを聞いた紫檀楼は、腰の矢立を抜いて紙にさらさら書くと、女中を呼んでご新造に渡してくれと頼んだ。
「牛若のご子孫なるかご新造が、われを汚穢(むさし)=(武蔵)と思い給うて」という皮肉な狂歌だった。
それを見たご新造は負けじとさらさらと返事を書く。
「弁慶とは見たは僻目(ひがめ)か背に負いし、すげ替えの才槌(さいづち)もあり鋸(のこぎり)もあり」
これに関心した紫檀楼はさらに、
「弁慶にあらねど腕の万力は、煙管の首を抜くばかりなり」紫檀楼古喜と名前を添えて応じると、それをみたご新造はビックリ。紫檀楼古喜といえば亭主の狂歌の先生の先生という大名人。
ご新造は無礼を詫びて、風邪をひかないようにと羽織を渡そうと近づきますが、、、
「あたくしは、この荷を担げば、ほれ」
「羽織(はおり)ゃ~。着てるぅ~(らおやぁ~。キセル~)」
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