名作 古典落語「心眼」あらすじ サゲ(落ち) 解説

本日、ご紹介する古典落語は「心眼」

心眼(しんがん)とは心の目。見えないものを理解する、見えなくても想像力と経験で物事を把握するなどの能力。

武術の分野でも有名で、目を瞑ったまま相手を倒すなんてシーンを映画などで見た事がある方も多いのではないでしょうか?

古典落語 心眼

演題の心眼だけを見ると戦国時代の激しい戦いの話のようにも見えるのですが、実際は心温まる話だったりするのが古典落語の面白い所。

長年連れ添った女房は大事に。どことなく名作古典落語「芝浜」を思い出させるお噺です。

この物語の主人公は按摩(あんま)【按摩というのは撫でる、押す、揉む、叩くなどの手技療法(マッサージ)のようなもの】を流しでやっている盲人の梅喜(ばいき)。

横浜まで商売に出かけたはずの梅喜が、浅草馬道の家に帰ってきたのだが、どうも顔色が悪い。女房のお竹が訳を聞く。

あらすじ

梅喜は涙ながらに語った。

なんでも、不景気もあり仕事が取れなかったからと、弟の金公のもとへ借金を頼もうと訪れたところ、目の見えない事をあざけられ、罵られたというのだ。

悔し泣きをする梅喜だったが、優しい女房に慰められ床についた。

梅喜は片目でも見えるようにと翌日から茅場町の薬師様に願掛けを始める。

すると熱意が通じたのか満願の日に目が開いたのだ。

見えるものは全て珍しいものばかり、人力車、姿見、梅喜は嬉しくなった。しかし、不思議なもので、見えない時は何事もなく帰っていた家も見えると分からない。そこで上総屋の旦那に案内され帰路につくことに。

帰路の途中、上総屋の旦那が、お前の女房のお竹は人間三分、化物七分。それに比べてお前はまれにみるいい男だ。小春という芸者もお前に惚れているんだぞ。

これまで散々世話になった女房でも、そんなに酷い外見かと思うと帰るのが怖くなった梅喜。

そんな事を考えながら、お参りをしていると旦那がいない。はぐれたようだ。

そこへさっきの話に出てきた小春が通りかかる。小春は梅喜の目が見えるようになった事を喜び待合茶屋に誘った。

若くて美しい小春の魅力にすっかり虜の梅喜。化け物みたいな女房とは別れるからお前と一緒になりたいなんて事を言い出した。

一方、梅喜とはぐれた上総屋の旦那は、目が開いた事をおかみさんに知らせてあげようとお竹のところへ来ていた。お竹は喜びすぐに家を出て梅喜のもとへ向かった。

お竹は梅喜を見つけたのだが、梅喜は小春と何やら楽しそうに話している。何を話しているのかと聞き耳を立てていると、なんと亭主は女と夫婦約束しているではないか。。。

頭にきたお竹は、中へ飛び込むと梅喜の胸ぐらを締め上げた・・・

「苦しい、勘弁してくれ・・・」

途端に目が覚めた。。。全ては夢だったのだ。

「あぁ、、夢か、、、もう信仰はやめだ」

「どうしたの?昨日まで毎日だったのに、今日になって」

「盲目てぇのは妙なものだ。寝ているうちだけよーく見える」

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