名作 古典落語「中村仲蔵」落語 あらすじ サゲ(落ち)

努力は人を裏切らない。

本日、ご紹介する古典落語は傑作人情噺としても有名な中村仲蔵(なかむらなかぞう)です。

八代目林家正蔵さんが得意としていた演目でもあり、個人的に印象に残っている高座ですので、あらすじも本来は人情噺ですのでサゲ(落ち)はありませんが、正蔵さんのように落ちをつけて書いてみました。

古典落語「中村仲蔵」は物語の結末にふれています。ご覧の際はご注意下さいませ

古典落語 中村仲蔵

中村仲蔵は江戸時代の名優。身分制度の厳しい梨園の世界において、役者の最下級「稲荷町」から名題(最高位)まで出世したという伝説の役者。

作中に出てくる「五段目」とは、歌舞伎の人気演目『仮名手本忠臣蔵』の五段目のお話の事。

あらすじ

時は江戸時代中期。役者の底辺と呼ばれる「稲荷町」から出発し、「名題」まで出世した中村仲蔵。

当時の役者の階級制度は、「稲荷町」から始まり、「中通り」「相中」「上分」「名題下」そして最高位の「名題」となる。もちろん実力より血筋が重視されていた時代ですから、家柄の無い仲蔵はもちろん稲荷町からスタートした訳です。ですから仲蔵が名題となるにはどれほどの苦労があったことでしょうか。

稲荷町から名題まで出世した仲蔵。もちろん仲間達からの嫉妬や妬みもありました。そして名題となって臨む大舞台は「仮名手本忠臣蔵」しかし、仲蔵に与えられたのは五段目の地味な斧定九郎という役。。

当時は、定九郎は名題下が演じる脇役であり、五段目も見どころが無い為、あきらかに嫌がらせだと仲蔵は思う。仲蔵は芝居には出ずに上方にでも行こうかと愚痴っていると、女房にこの地味な役を仲蔵がどう変えるかという期待の表れじゃない?という言葉で役作りに取り込む決心がついた。

しかし、そう簡単にはいい考えは浮かぶ訳もなく、妙見様に願をかけお参りを始める仲蔵。そして満願の日、夕立にあって蕎麦屋に駆け込んだ仲蔵はひとりの浪人者に出会う。

顔立ちのいい男。破れた傘をさしていたために濡れてしまったという様子で、黒羽二重の紋付きに茶献上の帯を締め、雪駄(せった)を二枚帯に挟み込んでいる。

これだと感じた仲蔵。ご利益があった、その侍に着ているものを根掘り葉掘り尋ね、いよいよ役作りに取り掛かった。

本番当日。

退屈な五段目の幕、通称弁当幕が開くと、これまで誰も見た事のない定九郎が出て来て、迫真の演技を始めた。しかし、客の反応は無い。声も掛からない、拍手も起きない、、そのまま出番は終わった。。。

これは大失敗と仲蔵は思った。こんな恥をかいてはもう江戸にはいられない、女房にも別れを告げ上方へ向かおうとする。

しかし、師匠から呼び出しがあったので、旅支度のまま師匠の元へ向かうと、意外にも大絶賛されてしまう。仲蔵は面食らって何も言えないでいると、まさに今のお前と同じで今日の客もお前の定九郎があまりにも素晴らしかったから声が出なかったというのだ。

さらに師匠は、今日の記念にと愛用の煙草入れ贈ってくれた。

仲蔵は嬉しくて、早く女房にこの事を伝えたいと急いで家に帰ると師匠の言葉を女房に伝えた。

女房は泣いて喜んだ。上方へ逃げると言ったり大成功だと言ったり、お前さんにはすっかり煙にまかれちまうよ。。。

「ははは。そりゃ違えねぇや。もらったのは煙草入れだ」

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テレビのコメンテーターのイメージが付いてきてしまいましたが、多くの方に志らくさんの落語を聞いて欲しいです。