名作 古典落語「夢金 ゆめきん」あらすじ

落語のサゲ(落ち)には、地口落ちのような駄洒落で落とすものや、途端落ちのような最後の一言で落とすものなど様々なサゲの噺がありますが、この「夢金」のサゲはしぐさ落ちと呼ばれています。

しぐさ落ちとは、言葉の通りしぐさで落とす為、実際に見てみないと分からないものが多いのが特徴です。落語を良く聞いていて「夢金」も知ってるという方はCDでの楽しみ方もいいですが、「夢金」をまだ聞いた事がないという方はDVDでご覧になった方がより楽しめると思いますよ。

古典落語 夢金

主に東京で演じられる事の多い演目「夢金」別題として欲の熊蔵とも呼ばれています。欲深く、金に対する執着が凄まじい熊蔵が主人公のお噺。

大真打の大ネタと呼ばれる演目で人物の描写など難しいとされる「夢金」サゲもしぐさ落ちですので噺家さんの演技力の凄さを堪能できる演目となっていますので是非、寄席や映像でご覧になって下さい。

あらすじ

「二百両ほしい」

『静かにしろ!また始まったよ。寝言だ。しかしあいつ強欲さには本当あきれる』

主人夫婦は、二階で寝ている船頭の熊蔵の金への執着につくづく呆れている。

そんな時、表戸を叩く音がした。強盗かと思った主人だったが、開けてみると若い女を連れた侍だった。

妹を連れて芝居を見てきたのだが、この雪で身動きが取れず困っているので屋根船を仕立ててもらいたいとの事だった。

船頭はみんな出払っていると断っているところに熊蔵の「百両欲しい」と寝言が聞こえてきた。

船頭がいるじゃないかと侍は尋ねるも、あれは金にうるさい男でして酒手(チップ)を無心すると迷惑になりますのでお断りしましたと主人は言うも、構わないから船を出してくれと侍は言う。

主人は熊蔵を起こしに行くがこんな大雪に仕事は出来ないと仮病を使う熊蔵。しかし、酒手をたんまり出すという話を聞いたとたんに態度が急変。今すぐお供しましょうと船を出す事となった。

船を漕ぎだしてしばらくするも一向に酒手の話も出やしない。船を揺さぶってみたりイライラする熊蔵に侍が金儲けの相談があると持ち掛けてきた。

実は連れの女は妹ではないという。花川戸の河岸を通った時に癪(しゃく)で悩んでいたので懐に手を入れると、100両もの大金を所持していた。

訳を聞いてみると、店のものと不義をしたが、その相手がクビになってしまい、その後を追って家出したのだという。そこで男の居場所を知っていると嘘を付き船に連れてきたという訳だ。

まさか冗談じゃない。人殺しの手伝いなんて出来ないと熊蔵は断るも、手伝いをしないとお前の命もないと侍は刀の柄に手をかけた。

いくらくれるんだいと熊蔵が聞くと二両だと言うので、今度は熊蔵がキレた。冗談じゃねぇ、ふざけた事言ってると川に飛び込んで船ひっくり返すぞと逆に脅しをかける熊蔵。侍もしぶしぶ山分けにする事を約束した。

船に血糊が付くと商売に支障をきたすからという理由で、中洲に乗り付ける提案をした熊蔵。しかし侍を先に上陸させると一瞬の隙をつき船を出し、これから潮がだんだんあがってくるぞ、泳げないのは残念だったな。と侍を置き去りに。。

女を送り届けると、手分けして探していたらしく両親は大喜び、これはほんのお礼ですと金包みを差し出した。

包みを破ってみるとそこには100両もの大金が、こいつはしめたと両手で握りしめる熊蔵だったが・・・・

「あぁ痛てぇ・・・」目が覚めた熊は自分の睾丸を握りしめていた。

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