名作 古典落語「妾馬 めかうま」(八五郎出世) あらすじ

落語には聞いてて大爆笑してしまうものから、意味が分かった時にお~と面白さが後から込み上げてくるものとありますが、中にはほろっと涙が出てしまうなんて話もあるんです。有名な演目では『芝浜』なんかもほろっとしちゃいますよね。
今回、ご紹介する「妾馬」もほろっと感動してしまうお噺となっています。落語は耳で聞いてその情景を頭の中で想像する事により物語の世界へと引き込まれていきます。「妾馬」の世界をお楽しみ下さい。

名作 古典落語「芝浜」あらすじ

2016.11.05

古典落語 妾馬(八五郎出世)

この妾馬(めかうま)は、全編を高座で演じると長編になってしまう事から前編だけを演じる事が多いです。前編には馬は出てこないので、前編だけで演じる時は「八五郎出世」という演目で演じられる事もあります。

というのも、前編で切った方が感動するんですよね。正直。

あらすじ

正室にも側室にも子宝に恵まれなかった大名 赤井御門守(あかい ごもんのかみ)は、家が途絶えるのを恐れ、町へ出て良さそうな女を妾にしようと物色していた。

そこで大名の目に止まったのが、裏長屋に住む今年17になるお鶴という女。家来が大家に話をすると大家は大喜びでお鶴の元へ。お鶴は母親と兄の八五郎の三人暮らし、もちろん話を聞いた母親も大喜びだったが、八五郎は支度金が二百両出る事に喜んでいたのだ。

めでたくお鶴はお屋敷に奉公にあがる事となったが、八五郎はというとあまりの大金を手にしたので、遊び散らしてしまい二百両はすっからかんに・・・

月日は経ち、やがて殿様のお手がついて妊娠をしたお鶴。月満ちて男児を出産し、お世継ぎをもうけたという事でお鶴さんが「お鶴の方様」となったのである。そこで兄思いのお鶴は殿様におねだりをして、一度兄をお目見えをとお願いをする。しばらくすると八五郎が殿様にお目見えすると使いが大家の元へ来たが、大家は大慌て。何故なら無一文の八五郎。結局、着物から全て大家が貸し与えたのであった。

さらに大家は、言葉使いを丁寧にしろと付け加える。ものの頭には「お」を、尻には「奉る」をつけると、丁寧な言葉になると。

お屋敷に着いた八五郎。用心の三太夫に従い殿の御前に出たが、ここでも失敗の嵐の八五郎。「即答をぶて」と言われて、三太夫の頭殴りつけてしまったのだ。あまりの間抜けな間違いに殿様は大笑い。さらに、大家のアドバイス通り、「お」と「奉る」を多用し挨拶するも、伝わる訳がない。

「何を申しておるのか、予には分からん」

『あたりめえだ。自分でも分かんねえもの』

隣でカンカンになる三太夫。しかし殿様が制して
「今日は無礼講じゃ。明友に申すごとく遠慮なく申せ」

そして酒と料理が出てくると、八五郎は胡坐をかいて飲みだした。三太夫は注意するが、その度に殿様が「三太夫、ひかえておれ」と制す。

すると八五郎はそこにお鶴がいる事に気が付く。立派になったお鶴を見て涙を流す八五郎。お鶴を幸せにして下さいと八五郎は都都逸を歌い始めてしまった。

怒り出す三太夫だったが。。。

「おもしろいやつだ、彼を抱えてつかわせ」と殿様の鶴の一声。八五郎は侍へと出世してしまったというお話。

最後に

あらすじという事である程度の流れを書いてみましたが、落語は聞いて欲しいです。それも同じ演目でも、噺家さんの数だけ違う噺があるというくらい、この「妾馬」も噺家さんによって全く違うものとなるのです。人それぞれ解釈が違うように、噺家さんもそれぞれ解釈が違う訳で、それが落語の面白さなんですよね。

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