落語の解釈は人それぞれ。サゲ(落ち)を解説するのは野暮な事なんて言いますが、私も私なりの解釈で解説する事はありますが、基本はサゲを解説まではしていません。
今回ご紹介する「居残り佐平次」は、名人と呼ばれる大御所の方々もそれぞれ解釈が違い、サゲを変えて演じているお噺です。(時代に合わせて変えた方が聞きやすいと思う噺家さんも多いようですね)
同じ演目でも、噺家さんによって違う噺のように聞こえるというのも古典落語の楽しいところの一つではないでしょうか。
古典落語 居残り佐平次
「居残り佐平次」には現在では、全く馴染みのない言葉が出てくる噺ですので、サゲ(落ち)を理解しやすいように一つ言葉の解説をします。
物語の終盤に「おこわにかける」という言葉が出てきます。
おこわとは強飯(赤飯)の事。そして「おこわにかける」となると「一杯くわす」「騙す」と意味になります。
赤飯をさらに美味しく食べるのに、ゴマ塩をかけますよね。それがこの噺を理解する上で重要なポイントの一つです。
あらすじ
品川遊郭で、金もない貧乏人の5人の男が大見世遊びをしている。
散々どんちゃん騒ぎをして、お引けになると、その中の一人。佐平次という男が、仲間から一円ずつ徴収し、集まった4円をお袋に渡してくれと言う。
何でも体の具合が悪く医者に見せたら、海に近くて空気が良く食べ物が美味しいところで養生すれば良くなると言われたから、自分はここに残るというのだ。
大見世では一晩遊んだら15円は掛かるというのに大丈夫か?と心配する仲間を帰した佐平次。
その後、勘定をもらいにきた若い衆に、金はさっきのやつらが持ってくるからなんて嘘をついて、さらに飲み食いを続ける。
翌日もはぐらかし飲み食いを続ける佐平次に、しびれを切らした若い衆が問い詰めると、佐平次は、金なんか持ってないよと平然と言い放ち、布団部屋に籠城してしまったのだ。
見世の連中はあきれたが、客が立て込んでいたのもあり、居残りに構ってる暇はなく佐平次の事は忘れてしまった。
佐平次はというと、頃合いを見計らっては、勝手に客の座敷に上がって接客を始める始末。
この佐平次、会話も上手く愛嬌もあり、座持ちの上手いところから次第に客の評判になって馴染み客やご贔屓が出来てしまった。
次々と、お呼びがかかって祝儀を稼ぎ出すので、見世の若い衆はたまったもんではない。
ついには主人に訴えて、勘定はいらないから、佐平次に出ていってもらう事になった。
主人に切り出された佐平次は、あたしは散々悪事を重ねたんで、外に出るとお上に捕まってしまいます。だからもう少しかくまってくれと言いだし、主人は仰天。。
結局、出る事になった佐平次だったが、今までどこに隠れてたという事になるとこちらに迷惑がかかるので、遠くへ逃げる為にという事で、主人に30円を出させ、さらには着物、帯、羽織まで用意させ、主人の下駄をはいて悠々と見世を出た。
ようやく追い出したはいいものの、見世の近くで捕まったら大変だからと若い衆に後をつけさせると、佐平次は鼻歌を歌ってご機嫌な様子。
驚いた若い衆が問いただすと。。
『俺は、居残りを商売にしている佐平次ってんだ。覚えとけ!』と捨て台詞。
戻ってきた若い衆に、全てを聞いた主人は。
「ひでぇ奴だ!どこまでもあたしをおこわにかける」とぼやくと若い衆が。。
『旦那の頭がゴマ塩でございます』
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