名作 古典落語「たいこ腹」落語 あらすじ サゲ(落ち) 解説

今回、ご紹介する古典落語は「たいこ腹」です。

演題にある、「たいこ」は漢字で書くと「幇間」つまりたいこ持ちのたいこになります。昔ではお座敷や宴会で上の者に対してご機嫌を取り盛り上げる職業として存在していましたが、現在でも職業とは言いませんが、上司や先輩、力のある権力者に胡麻擦って美味しい思いをしてる人をたいこ持ちなんて言いますよね。

今回はそんなたいこ持ちと若旦那のお噺です。名作古典落語お楽しみ下さいませ。

古典落語「たいこ腹」は物語のサゲ(落ち)のネタバレがあります。ご覧の際はご注意下さいませ。

古典落語 たいこ腹

物語の主人公は伊勢屋の若旦那。絵に描いたような道楽者で、飽き性。何かを始めてはすぐ飽きてしまう若旦那だが、今度は鍼(はり)に凝り始めた模様。

早速、鍼医に弟子入りするのだが、いつの日も練習ばかりで若旦那はウズウズしていた。人に試してみたい。そこで、若旦那は幇間の一八(いっぱち)に目を付けた。「若旦那の為なら」が口癖のあいつならいい練習台になりそうだと。。。

呼び出された一八は、何かいい事があるもんだと喜んでやってきたのだが・・・

あらすじ

「若旦那。お待たせしました」

「おう。一八。お前に聞きたいんだが、お前はいつも若旦那の為なら火の中水の中なんて言うが、あれは本当か?」

「なにを若旦那。当たり前ですよ。なんなら今すぐ川にでも飛び込んで。。。」

「いやいや。実は今、鍼にはまっていてな。鍼をやろうと思うんだが」

「鍼!いいですねぇ。あたしも最近腰が痛くて痛くて」

「おお。そうかそうか。じゃぁ早速横になりなさい」

「あれ?先生がまだ来てないようですが。。まさか。。若旦那が?それはやめましょう」

「やめるかい?そうか、鍼一本につき小遣いやろうと思ったんだが」

お金の力には流石に逆らえない。一八はしぶしぶ横になった。

怖いんでとりあえずお腹でと腹を差し出す一八。若旦那が震える手で鍼を指すとボキッ。鍼が折れてしまった。泣き叫ぶ一八。

若旦那はびっくりして一八を置いて逃げ出してしまった。

一八の叫び声を聞いた女将さんが駆け付けて来た。

「一八。どうしたんだい。なんだいその腹は?まぁ腫れちゃって。。。何があったの?鍼?お前さんも馬鹿だねぇ。。でもお前さんも腕のいい幇間だ。いくらかにはなったんだろう?」

「それが、皮が破けたんで鳴りません」

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