名作 古典落語「幾代餅」落語 あらすじ サゲ(落ち) 解説

本日、ご紹介する古典落語は「幾代餅(いくよもち)」です。

久しぶりに聞かせる人情噺をご紹介したいと思い選んだのですが、以前ご紹介した「紺屋高尾」に似ています。似ているというかストーリーは大まかに同じです。でも若干の違いもあるので、聞き比べてみるのも楽しいと思いますので今回選んでみました。

古典落語「幾代餅」は物語のサゲ(落ち)に触れています。ご覧の際はご注意下さいませ。

紺屋高尾のあらすじはこちら

名作 古典落語「紺屋高尾 こうやたかお」落語 あらすじ

2017.03.22

古典落語 幾代餅(いくよもち)

物語の主人公である清造(せいぞう)は、日本橋馬喰町の搗米屋(つきごめや)六右衛門に奉公している男。

仕事も真面目で働き者、身体も丈夫な男なのだが、どうもこのところ様子がおかしい。心配した親方が事情を聞いてみると、なんと恋わずらいだという。なんでも、人形町の絵草子屋で吉原の幾代太夫の錦絵を見てから仕事も手につかないというのだ。

あらすじ

堅物な男の恋わずらいに驚いた親方だったが、それなら向こう一年間必死に働いて金を貯めろ、そうすれば会う算段をつけてやると清造に約束をする。

それを聞いた清造は、すっかり元気になり一生懸命働きだした。

一年後

一年間貯めたお金、十三両二分を持って親方の前に行くと、親方も約束を思い出しお金を足して十五両にしてくれた。さらに親方は吉原の最高級の店ともなると勝手が分からない為、横丁の医者、薮井竹庵を案内人として付けてくれた。

「気を悪くされると申し訳ないのだが、相手が相手だ、搗米屋の奉公人じゃ相手にしてもらえないかもしれないから、お前さんを野田の醤油問屋の若旦那という事にして紹介するからね」

竹庵が馴染みの茶屋の女将に話を通すと、偶然にも今日は幾代太夫に客がなかった。しかも、女将の頼みもあってか一晩ごゆっくりとの事。

清造はもう何も思い残す事はないというほどの一夜を過ごした。

翌朝。今度はいつ来てくんなます。と吉原の決まり文句。適当に答えればいいものを真面目な清造は自分は本当は搗米屋の奉公人、一年間金を貯めて来た事、着物も全て借り物だという事、全て喋ってしまった。

また一年後、来る事が出来たら会って下さいと花魁に伝えると、幾代太夫は涙を流した。

今のこの世でそう正直に話せる者はいない。清造の純粋さに惹かれ、来年の三月んみ年季が明けるが、女房にしてくれないかと幾代太夫は切り出した。

驚いて何も言えない清造。そんな清造に幾代太夫は持参金五十両を渡した。

それからというもの、「来年の三月」が口癖になった清造は無我夢中で仕事に取り組んだ。

月日は流れ、翌年三月十五日

親方の家の前に一丁の駕籠が止まった。中から出て来たのは幾代太夫。

結びの橋渡しともいえる竹庵先生を仲人に二人はめでたく夫婦となった。

夫婦でここにいてもという事で親方は、両国の空き店を借り二人を独立させる事にした。さてなにをやろうかと話し合ってると元が搗米屋だから餅屋がいいという事で女房の源氏名を取り幾代餅として二人で商いを始める事に。。。

するとこれが大評判。毎日、客がひっきりなしにやってくる。やがて幾代餅はこの土地の名物となり、子宝にも恵まれ、二人は末永く幸せに暮らしたという。幾代餅由来の一席。

 

仲のいい二人を見た客が「そんな仲良くやってたらみんな焼き餅を焼きますよ」

「いいえ、うちは幾代餅。焼き餅はございません」というサゲ(落ち)で終わるバージョンもあり。

 

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