古典落語で遊郭を舞台にした噺は数多く存在しており、今までもいくつかご紹介してきましたが、今回は「三枚起請」というお噺。
正直聞きなれない言葉ですよね。三枚起請(さんまいきしょう)元々は上方落語の演目でお茶屋が舞台の噺だったとか。それが東京に移された時に吉原遊郭が舞台の噺になっていったと言われています。
古典落語 三枚起請
江戸の朝はカラスが多く鳴き声がうるさくゆっくり寝てられなかったといいます。夜の仕事の遊女にはさぞ辛かったかもしれませんね。「三千世界の鴉を殺し主と朝寝がしてみたい」そんな都都逸も生まれたくらいですから。
しかし、そんな起請文が、もし三枚もあったとしたら・・・
あらすじ
吉原の遊女に入れ込む熊さんを棟梁が夜遊びがすぎると注意をするが、当の本人は聞く耳を持たない。さらには年季(ねん)が明けたら夫婦になるという起請文までもらっているとおのろける始末。
棟梁は無理やり起請文出させ読んでみると確かに正式な起請文だという事が分かった。しかし、遊女の名前を見て棟梁は驚愕する。
何故なら、棟梁も同じ女から起請文をもらっており、それを信じて独身を貫いていたのだ。
悔しがっている二人の元に酒屋の若旦那がやって来た。熊が女から起請文をもらったと知って茶化しに来たのだが、起請文を読むと若旦那の顔色が変わっていく。それもそのはず、若旦那も同じ女から起請文をもらっていたのだから。
三人は怒り狂い女に仕返しをしようと企み吉原に乗り込んでいった。
まずは棟梁が一人で入り、順に姿を見せ言い逃れが出来ないようにしてやろうという魂胆だ。
棟梁は女に、起請文を熊にもやったろうと問いただすが、知らないの一点張り。まさか三人が繋がってるとは夢にも思っていなかったのだろう。
棟梁は隠れていた二人を呼びつけると「女は客を騙すのが私の商売だよ。騙される奴が悪いのさ」と開き直ったのである。
騙すのは構わねぇが、嘘の起請はいけねぇ。嘘の起請を書くって事は熊野で鴉で三羽死ぬって事だぞ。
「それなら嘘の起請を山ほど書いて、世界中の鴉を殺してやりたいねぇ」
鴉を殺してどうするつもりだい?
「朝寝がしたいのさ」
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