本日ご紹介する「権助提灯」は、もうかれこれ10年以上前に落語をテーマにしたテレビドラマ『タイガー&ドラゴン』でも取り上げられたので覚えている方もいらっしゃるかも知れませんね。
落語を題材にしたテレビドラマなんてどうなんだろう?と当初は思っていましたが、蓋を開けてみればビックリ高視聴率、、落語ブームにまで発展してしまったのですから驚きでした。
かなり前の作品ですが、題材が古典落語ですので今見ても非常に面白い作品です。まだ見た事の無い方は是非ご覧になってはいかがでしょうか?
テレビドラマ『タイガー&ドラゴン』は以前記事にしていますので、こちらもご覧くださいませ。
古典落語 権助提灯
主人公の権助は、古典落語ではお馴染みのキャラクターですね。
今回の「権助提灯」の登場人物は主人と女房と妾。そうなると何やらバタバタしそうな感じもしますが、ショートストーリーですのでさらっと聞いて頂ける楽しい噺になっています。
それでは「権助提灯」お楽しみ下さいませ。
あらすじ
暮れの話。とある商家の主人は妻の他に妾をもっていた。
しかしこの旦那の妻と妾は人を妬むのが嫌いなようで、お互いの存在を知りながら旦那を責める事はしないのである。
この事をいいことに旦那は妻と妾の家を行き来する、誰もが羨むような生活を送っていた。
そんなある日の晩の事。
「今日は風が強い、こちらは若い者が大勢いますから火事があっても大丈夫ですので、あちらに行ってあげたらどうですか?」と妻が言う。
そう言われた旦那は、妻の心の深さに関心しながらさっそく出かける準備を始める。
しかし問題は、妾宅までは道が悪く暗い、、しょうがなく権助に提灯持ちを頼み旦那は出かけていった。
妾宅に着くと、こんな遅い時間にどうしましたと驚かれたので家内に言われて泊まりに来たと言うと。
「それは嬉しく思いますが、それでお泊めしますと、ものを知らない女になってこの先奥様にお目にかかれなくなってしまいます。お泊めしたいところではございますが、どうか本宅へお帰りなさって」と言う。
恐れ入った。。この事を家内に言いましょうと、提灯をつけるよう権助に命じた。
さて、本宅に戻ってきた旦那と権助だったが、家に入ろうとすると。。
「このまま今晩あたくしがこちらにお泊めするとなると、しめしがつかなくなると困りますので、今日はあちらで泊まって下さいませ。」と門前払い。
溜息をつく旦那、、権助に提灯をつけるように命じると。
『消さねぇで待ってました』
蝋燭が無駄になるじゃねぇかと権助を叱って妾宅に着いた旦那だったが、そんな事ならなおさら泊められませんとまたも門前払い。。
また戻るはめになってしまった旦那、、涙声で権助に提灯をつけるように頼むと。。
『旦那様。その必要はねぇ。もう夜が明けた』
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