この演目は元は上方落語の演目で「口入屋」という題名で演じられている演目です。上方落語では大ネタとされ非常に人気のある演目ですね。
江戸落語では「引越しの夢」という演目で演じられるのですが「口入屋」と「引越しの夢」と僅かに違う箇所がある為、ここでは「引越しの夢」をご紹介します。私も最初に聞いたのが「引越しの夢」で意外とすんなり物語に入れたので、初心者の方でも分かりやすいと思いますよ。
引っ越しの夢
なぜ上方落語と江戸落語で全く題名が違うかといいますと、江戸落語では口入屋(現在で言うと職業紹介所のようなもの)のくだりが入らない為、引っ越し屋と題名が変わったようです。
大人向けの演目ではありますが、多くの名人が得意演目としていた人気の演目ですので、DVDやCDとして今も残り語り継がれています。是非「口入屋」「引っ越しの夢」両方聞いて、違いも楽しんで下さい。
あらすじ
ある大店の主人は口入屋にまたしても女中をとお願いをする。
しかし今回は男が寄り付かないないような不器量な女をとの希望を出した。なぜなら、これまで若い女中をおいても、長続きがしない。お店の男達から口説かれ、何十人もの男達から夜這いを申し込まれるうちに怖くなって逃げ出してしまうからだ。
そして今回紹介されやってきた女中は、歳はやや上だがなかなか利口な女。
今回は大丈夫ですと言われたものの不安な主人。
主人の心配は的中のようで、年増であろうと器量のいい人当たりもいい女。若い男達がほっておく訳もなく、すっと台所に忍び込み口説き始める奴が大勢現れる。人当たりのいい女ですから、口説いた男どもはみんな自分に落ちたと思い込んでる始末。。
台所の上に中二階があり、そこの女中部屋で女は休むのだが、寝る時は猿梯子という軽い梯子を二階へと引き上げるのです。すると男達は上へ上がれず夜這いが出来ない為、安心して寝れるという訳です。
しかし男達はお互いけん制しながらも抜け駆けしてやろうと密かに企んでいます。
そんなある日の事、お店を早仕舞いする事になり、このチャンスを逃す訳にはいかないと、ある男は夜這いを決行しようとするが、梯子は引き上げられている。
鼠要らずを利用して中二階へあがろうとするも、釘が緩んでいたのか、落ちてしまう。何とか肩で受け止めるも、続いてやってきた男も同じように反対側を担ぐ事になってしまった。
泥棒が入ったらしいと聞きつけた主人がその場に駆け付けるも、立ったまま二人はタヌキ寝入りする事に・・・・
「何やってるんだい?」
「引越しの夢を見ておりました」
最後に
この「引っ越しの夢」という演目は、上方と江戸はもちろん、演じる噺家さんによっても大きく味付けが違う為、何度聞いても飽きない話となってます。同じ演目でも色んな噺家さんによってまた別の話のように聞ける。これが落語の楽しい所でもあるのです。
色んな噺家さんの話を聞いて是非、お気に入りの「引っ越しの夢」を見つけて下さい。
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