初心者にもおすすめの古典落語は何?なんて聞かれると「饅頭こわい」や「時そば」って答える事が多かったんですよね。
やはり知名度がありますから、一度は耳にしている演題の方がすんなり落語に入れるかな?と考えておすすめしていました。
私が以前、初心者にもおすすめの古典落語をまとめた時も「寿限無」だったり、知名度を重視し尚且つ言葉、内容が分かりやすいものを選びました。
しかし、今回ご紹介する「雛鍔 ひなつば」
この噺は、演目名が難しいので、どうせ難しい噺なんでしょ?と聞いてみようと思わない人も多いかも知れませんが、実は凄く分かりやすく初心者にもおすすめの古典落語なのです。
本当は、初心者にもおすすめの古典落語にも入れたかった「雛鍔」是非聞いてみて下さい。
古典落語 雛鍔(ひなつば)
家に帰って来た、植木屋の亭主の様子がどうもおかしい。
女房が心配し尋ねてみると、さっきまで仕事をしていたお屋敷で凄い光景を見たと言うのだ。
松の木に登って仕事をしていると三太夫がやってきて、今から若様がお出になるから木から降りるように言われたので、木から降りて見ていたという。
すると、若様が大勢の付き人を従えてやってきた。
泉水のほとりで若様が立ち止まったと思ったら、どうやら穴あき銭を拾ったらしい。
ニコニコしながら駆けだしたので、どこの子供でも銭を拾えば嬉しいんだなと思いながら見ていると、若様は三太夫のところに行ってこう聞いた。
「爺、、これは何だ?」
子供にいつも小遣いをせびられている植木屋の亭主。若様がお銭を知らない事に軽くショックを受けた。
『若様は何だと思いますか?』
「丸くて、真ん中に穴が開いてて字が書いてある、、う~ん。お雛様の刀の鍔(つば)じゃないかな」
『左様でございますか。それは不浄の物にございます。お取り捨てを願います』
そう言われると若様は、ポイっと放り出して駆けて行ってしまった。
後で三太夫に聞くと、若様の歳は八歳だという。自分のバカ息子と同じ歳と知ってなんだか悲しくなってしまった。
「そういえば、うちのバカ息子はどこ行ったんだ?」
『お前さんの後ろでずっと話を聞いてるよ』
「なぁなぁ遊びに行くから銭くれよ」
「お前と若様とはえらい違いだよ。。。お前には若様の真似は出来ねぇよな」
「出来るさ」
「じゃぁやってみろ」
「銭を落としてくれよ」
「この野郎!」
数日後、大店のご隠居が家に尋ねて来た時に、バカ息子が駆けて帰ってきた。
「こんなもの拾っちゃったけど、何だろう?お雛様の刀の鍔かな~?」
植木屋の息子が銭を知らないのに驚いたご隠居。
褒美に何でも好きな物を買ってあげようと約束をする。
「良かったな。さぁ、そんな不浄な物は捨てちまいな!」
「嫌だい!これで焼き芋買って食うんだい!!!」
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