廓噺、泥棒噺と最近はご紹介していましたが、本日はガラッとテーマを変えて古典落語「弥次郎」をご紹介したいと思います。
今回のテーマは『嘘つき』
嘘でも相手を罠にかけたり、困らせたりするのが目的の嘘は問題だが、ただ面白がらせようと、ひたすらそれだけの為につく嘘、ホラ話には罪はありません。
古典落語 弥次郎
隠居のところに顔馴染みの弥次郎がやってきた。
この弥次郎、嘘つき弥次郎の異名をとる近所では有名なホラ吹き男。今日も隠居にホラを吹きにやってきたのだ。
「しかし、お前はどうして、そう無闇に嘘がつけるんだ。たまには本当にあったことで面白い話を聞かせてくれよ」
『じゃぁ隠居、今日ばかりは本当にあった事を話しましょう。』
『あれは私が、武者修行をしていた頃の話です・・・』
あらすじ
北海道はあまりに寒いので、現地では凍ったお茶をかじっている。そんな気候だから雨はもちろん挨拶の「おはよう」まで寒さで凍ってしまう。
凍った挨拶は一本いくらで売られており、それを目覚ましかわりに使っているのです。
ある日、火事が凍ったのを見て見世物にしようと買い取り牛方と牛五、六頭を雇って運ばせ、奥州へ向かうも、道中で「火事」が溶け、牛は丸焼けになってしまった。水をかけても消えません。これが本当の『焼けウシに水』
怒って追いかけてくる牛方から逃げているうちに日は暮れ、遠くに見える灯りを頼りに近づいてみるとそこは山賊のアジトだった。
山賊と大立ち回りになったので、力の差を見せつけようと思い、幅が二間、高さが三間もある大岩があったので小脇に抱えて。。
「二間も三間もあるものが、どうして小脇に抱えこめるのだ?」
『これはひょうたん岩といって間がくびれているので、そこを小脇に抱えて、手でちぎっては投げちぎっては投げ・・』
「ちょっと待て、岩がちぎれるものか」
『できたてなんで柔らかいんで』
山賊達は蜘蛛の子を散らすように逃げ去ると、今度は巨大な猪が出てきた。
馬乗りになって睾丸を握りつぶすと、腹の中から猪の子供が16匹飛び出した。話はますますエスカレート・・
猪を退治した事で招待された庄屋の家。そこの娘に惚れられて面倒なので逃げると、紀州高川にやってきた。若い娘が来ても川を越させないように船頭を買収しておいたので、後を追ってきた娘が、船頭が舟に乗せてくれないので川に飛び込んで・・・
「大蛇にでもなったのか?」
『いえ、一尺五寸の蛇。不景気なんですよ』
水がめの中に隠れて息をひそめていると、その周りを7巻き半。
「1尺5寸でどうやって巻いたんだ」
『それがギューンと気力で伸びた』
でもしばらくすると、蛇の体が溶けちゃった。寺男が無精で掃除をしないから、ナメクジが水がめに貼り付いていたんです。
「それじゃぁ虫拳だ」
『折を見て立ち上がったんですが、中啓を持った姿。。実にいい男』
「お前さん、お武家だったのかい?」
『いえ、安珍という山伏で』
「どうりでホラの吹きどおしだ」
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