本日、ご紹介する古典落語は「家見舞い」です。
タイトルを見ると、お見舞いのような話に思われる方もいると思いますが、家見舞いというのは新築祝いのこと。
昔は演題も、肥瓶なんて呼んでいた時もあったそうですが、ストレートすぎてよろしくないと家見舞いに落ち着いたそうです。
古典落語 家見舞い
現在では水が欲しければ、蛇口をひねれば水が出てきます。トイレは使用したらジャーっと流せばおしまいですが、、もちろん当時はそんなものはありません。
ですので当時はどの家庭にも水瓶があり、井戸の水を水瓶に貯めて使用していたんですね。
しかし水瓶というのは、それなりに丈夫なものを買おうとすると中々値が張ったようで・・・
あらすじ
兄貴分が家を建てたと聞いて家見舞い(新築祝い)を持っていこうと話す江戸に住む二人組。
何を持っていこうかと話し合い、水瓶にしようと思ったのだが二人のお金を足してもとても買えそうにもない。。。
古道具屋なら買えるものがあるかもしれないと二人は古道具屋へ向かう。
品物を物色するも、どれも手が出ない二人、、、そんな時ふと脇にあった瓶(かめ)に目がとまった。
「それなら、タダで持っていっていいぞ」
「タダ??そりゃ最高だ。これ貰ってくよ。でもこんな水がひたひたに」
「なに?水瓶に使う?ダメダメ。そりゃ肥瓶だよ」
「大丈夫さ、洗えば問題ないって。貰っちまおう」
しかし、洗っても洗って汚れは落ちない、匂いは強烈、もうしょうがねぇ、水をはって渡すしかねぇ。
「おう。よくきたな、何、新築祝いに水瓶を?悪いなぁ。さぁ上がってくれ」
せっかくだから飯でも食ってけと兄貴。まず出て来たのが湯豆腐。
「あの、兄貴、、この湯豆腐はどこの水を使って?」
「そりゃ、お前たちが祝ってくれた水瓶だよ」
「うぇぇ。。もっと早く聞けよ。。俺食っちまったよ・・・」
「あの、兄貴、、あっしは豆腐を断ってました」
「そうか。断ち物じゃしょうがねぇ。じゃぁ香の物はどうだ?」
「香の物。。。水使うよなぁ。。。断ってました」
「なんでぇ。じゃぁ焼き海苔で飯でも食え!」
「飯は水で炊くよなぁ。断ってました」
さっきから水の話になるとどうも二人の様子がおかしいので兄貴は水瓶を見に行った。
「なんだ、ひどく澱(おり)が浮いているな。こりゃだめだ。おい、おまえら今度来る時に、鮒(フナ)を二、三匹持って来てくれ。鮒は澱を食うっていうからな」
「鮒ですか?それには及びません。さっきまで鯉(コイ・肥)が入ってました」
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