本日ご紹介する古典落語「竹の水仙」は、ずっとご紹介したかった噺なんですが、どうあらすじをまとめるかをずっと悩んでいた演目です。
というのも、落語家によって内容が微妙に違うんですよね。サゲ(落ち)をつける方もいれば人情噺としてさらっと終わる方もいたり、落語の面白さが詰まった非常に面白い演目です。
私は柳家喬太郎さんが好きというのもあって、喬太郎さんの竹の水仙が印象に残ってしまってるんですが、この噺は色んな落語家さんを聞き比べてみると面白いですよ。同じ演目でも全く違う噺に聞こえるので、何度聞いても面白い。まさに名作古典落語ですね。
古典落語 竹の水仙
この物語の主人公は江戸時代の伝説の大工「左甚五郎」
落語には左甚五郎が主人公の噺はいくつもありますので、落語を聞いてる人には馴染みの深い名前ではないでしょうか。
左甚五郎が主人公の噺は名作が多いので、まだ聞いた事のない方は是非こちらもご覧下さいませ。
左甚五郎が登場する古典落語はこちら
あらすじ
とある宿場町に、今にも潰れそうな一件の旅籠がある。その名も「大松屋」
この旅籠に一人の客が泊まっているのだが、毎日酒を飲んだくれ部屋でゴロゴロしているだけ。しかも一銭も払っていない状況なのだ。
久しぶりに来てくれた客なだけに大松屋の主人もなかなか勘定の催促をしかねていたが、女房に脅され、しぶしぶ勘定の催促をする為に二階に上がった。
勘定の催促をする主人だったが、客は金は一銭も無いと言う。
怒り狂う主人だったが、客の男は一仕事して金を払うと言う。なんでもこの男、大工だと言うのだ。
客は主人に、宿の裏の竹藪から竹を切ってこいと言い。その竹を持って仕事をすると言ってまた部屋にこもってしまった。
やがて部屋から出て来た客。出来上がったのは奇妙な竹細工。
「これを一輪挿しに水を張りその中にさしときなさい。そして、これを店先の一番目立つ所に『売り物』とでも書いて置いておくといい」
「そんなに時間は掛からないだろう。もし値を聞かれたら町人なら50両、武家なら100両と答えるのだ。一切まけてはならんぞ」
「はぁ・・・・?」聞いていた主人はポカーンである。
まぁでもこうなったら言う通りにするしかねぇ。。
翌朝。昨日の竹細工が水を含み水仙のように花開いている。そこに通り掛かったのが、毛利の大名行列。
駕籠の中から竹の水仙に目を奪われた毛利。城に戻った後、使いの者を大松屋に向かわせ、竹の水仙を持ってくるよう命じたのだ。
これにびっくりしたのが、大松屋の主人。何かやらかしてしまったのか?とビクビク怯えながら殿様の所へ向かうと、その竹の水仙は売り物か?と尋ねられた。
「こ、これは、売り物です」
「値はいくらだ」
「えっと。。(町人なら50両、武家なら100両。。。)あの、、100両です・・」
「そうか100両か。じゃぁこの100両でこれを譲ってもらおう。」
「・・・えっ」
100両を受け取った大松屋の主人。何がなんだか分からない状態のまま宿へ帰って行った。
宿に着くとすぐさま二階に上がり、客の男に竹の水仙が売れた事を報告する。
「そうか、売れたか。いくらで売れた?・・100両?なんだ毛利なら200両でも良かったものを」
「何を言ってるんです。もう私は何がなんだか。。。あっこちらが売り上げの100両です」
「うむ。じゃぁこれから宿賃と飲み食いした分を払おう。あと迷惑料として50両置いていこう」
「えぇ!!!!そんなもらえませんよ。。あれ、あなたは・・・もしや・・・宿帳の名前は・・・あっ!もしや左甚五郎先生じゃありませんか?」
「私は、左甚五郎だが、左甚五郎先生なんてものじゃない。さてそろそろ江戸へと行くとするか」
「そんな事をおっしゃらずに。。まだ竹はいくらでもあるんですよ」
「何を言ってるんだ、私は行きます」
左甚五郎は去って行った。
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