本日は、ほろっと涙の流れる人情噺をご紹介したいと思います。
やはり子供の出てくる落語は泣けますね~。
当時の時代背景を感じながら、笑いあり涙ありの名作古典落語『藪入り』をお楽しみ下さいませ。
古典落語 藪入り
「藪入り」という言葉も近年は聞く事も無くなってしまいましたが、その昔江戸時代では正月と盆の16日前後に住み込みの奉公人が休暇を取り実家に帰省出来る「藪入り」というものがありました。
その名残りが今も残り正月、お盆の帰省ラッシュへと繋がっているんですね。
そしてこの噺を理解する上でもう一つ知っておいて頂きたいのが「ペスト」
遡る事明治時代、ペストが流行した時、感染経路であるネズミを駆除しようとネズミを捕獲した者には懸賞金が支払われていたそうです。
このネズミを捕獲する事による懸賞金。このエピソードが見事に絡み合って名作古典落語「藪入り」の誕生となったのです。
あらすじ
父親は今日は中々寝付けない。何故なら、明日は奉公に出した息子が藪入りで三年ぶりに帰ってくるからだ。
明日はあれをしてやりたい。これを食わしてやりたい。もう準備しとくか?「まだ夜中だよ」なんて女房に言われる底なしの親バカである。
まぁ三年ぶりに愛する一人息子に会えるんだから興奮するのも無理はない。
「明日は、浅草に行って、品川で海を見せたいなぁ。その後は日光へ行こう。それから仙台、北海道と渡って船で新潟へ行って、加賀、越前、伊勢、京都、大阪・・・讃岐の金毘羅様を・・・」
「明日、一日でそんなに回れる訳ないでしょう・・・」
さぁ当日の朝。子供はすっかり庄家の奉公人らしく立派な挨拶をする。
父親というと、目を瞑ったまま動かない。。
「何やってんだい?」
「目を開けると涙が出てきやがっていけねぇ」
「しっかりおし!男でしょ」
「おい!おっかぁ見て見ろこんなに大きくなってらぁ。俺より大きいぞ。」父親は感涙する。
息子が湯屋に行くと、女房が息子の紙入れに五円札が三枚という大金が入っているのに気が付いた。
何か悪い事でもしているんじゃ。女房の不安は募る。それを聞いた父親の方はというと、悪い友達に騙されて主人の金に手をつけやがったな。苛立ちが募っていた。
そんな時、息子が帰って来たので、父親は殴りつけてしまったのだ。
「この金はなんだ!?」
『これは、去年ペストが流行した時、鼠捕りの懸賞に当たったものだよ。主人に預けていたんだけど、今日の藪入りに家へ持って帰って親を喜ばせてやれって主人に渡されたんだ。』
それを聞いた両親は安心する。これもお前が主人を大事すればこそだな。息子を褒めたたえる。そして父親が一言。
「それもこれも、ご主人への忠(チュウ)のおかげだ」
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