季節も変わり、だんだんと暑い日が続いてきましたね。
今回ご紹介する古典落語は、演題にもなっているように、医者がテーマ。
昔は、急な体調不良が起きて医者に診てもらいたくても、医者がいない。なんて事は普通にあったようです。
病人が出ると、医者を迎えに隣町へ。。そこでも見つからなければさらに隣町へ。。。
現代の医療の発達に感謝しかありませんよね。
古典落語 夏の医者
暑さもピークを迎えた夏の昼間、ある村の農夫が仕事中に倒れてしまった。
しかし、この村には医者はいない。。
農夫の息子が医者を呼びに出かける事になったのだが、医者は山むこうの隣町まで行かないといないという。
夏の山越えは厳しいものがあるが、そんな事は言ってはられない。
息子は山裾をまわって医者を呼びに隣町まで出かけて行った。。
あらすじ
何とか医者の家まで辿り着き、事情を説明する息子だったが、医者は草むしりの最中だからちょっと待てと、のんびりモード。
気が気でない息子をよそに、ようやく支度が出来たところで、二人は出発した。
何とか山の頂まで来たはいいものの、年寄りの医者との山越えはさすがにキツイものがある。
ちょいと一休みしようと山頂で休む事になったが、父親の事を思うとそうものんびりしてられないと内心は焦ってしまう息子。
そろそろ出ましょうと、立ち上がった時に、辺りが急に暗くなった。
もちろん日が暮れた訳ではない。。しかも変な匂いもしてきた。。。
「どうやら、この山に古くから棲んでいるうわばみ(大蛇)に吞み込まれてしまったようじゃの。。このままじゃ、お前も私も溶けてしまうぞ。」
『どうすれば、、、先生。どうしましょう?』
「刀を持ってれば腹を切って逃げるのだが。。。」
思案していた医者は、息子が背負っている薬籠から下剤を取り出し、それを辺り一面に振り撒いた。
まもなく、薬が効いてきたのか、大蛇は苦しみ出して大暴れ。向こうに明かりが見えた時、二人は凄い勢いで排出された。
転がるように山を下った二人。ようやく家に着いたのだが、二人とも酷い匂いが。。
水を浴びて、ようやく診察となった訳だが、ただの食あたりだと言う。。。
「なんぞ。食ったか?」
『父つぁんはチシャの胡麻よごしが好物なんで。よく食べてます。』
「夏のチシャは腹に障る事があるからなぁ。まぁ訳はねぇ。薬飲めばすぐ良くなるだろう。」
薬籠をと思ったが、どうやら大蛇の腹の中に忘れてきたらしい・・・
しかたなく、もう一度山を登り頂上へ。
頂上へ着くと。真夏に、下剤をかけられたもんだから大蛇はすっかり弱って、ぐったりしていた。
「さっき吞まれた医者だよ。忘れ物をした。すまねぇがもう一回吞んでくれ」
『もうだめだ。。。』
「そんな事言うなよ。もういっぺん。」
『だめだ、夏の医者は腹へ障る』
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