名作 古典落語「本膳 ほんぜん」落語 解説 あらすじ

食事の作法って難しいですよね。

国によって様々ですし、ちょっと高級なフレンチレストランなんか行った日には、キョロキョロ周りを見回して田舎者丸出しの状態になってしまいます。。。

やっぱり日本がいい!なんて思ったりもするんですが、実は日本こそ色々ややこしかったりする訳で・・・

この演目はサゲ(落ち)まで書いています。ご覧の際はご注意下さいませ。

古典落語 本膳

演目名にもなっている「本膳」を解説しますと、本膳とは、本膳料理の事をいいます。

日本料理の正式な膳立てで「一の膳」から「三の膳」まであります。

正式なマナーに「菜と汁をいっしょに食べない」「和え物と煮物に続けて箸をつけてはいけない」「迷い箸をしない」「おかわりの時は飯碗を受け取ったら、必ず一度膳に置く」などかなり厳しい作法があります。

普通に自由に食べたい・・・

あらすじ

とある村の庄屋の家で結婚式が行われ、村人一同が祝物を送った。

そのお礼として、村人達は庄屋に招かれ本膳を振る舞われる事になったのが、誰一人として本膳の礼式を知る者はいないのである。

 

誰も礼式を知らないとは困った。皆で夜逃げするか?なんて話もする始末。

その時一人が、村はずれの手習いの師匠を思い出した。あの師匠なら本膳の心得くらいあるはずだと、皆でお願いして教えてもらいに行く事にしたのだが。

「さすがに、今晩の事を今すぐにというのは、ことが早急すぎる。」

「ではこうしましょう。拙者も今晩は招かれているので、拙者のするとおり、ひたすら真似をしなさい。」

 

庄屋の家に着き席に座るも、先生はさすが慣れているだけあって悠然としているが、落ち着かないのは村人達。

いざ本膳が運び込まれてくると、全員の目が先生に向けられる。

吸い物椀の蓋を取り同じ場所に置く、箸を取った。それを皆が真似る。

一口吸って置いた。それを見た全員が一斉に真似をする。

拙者のする通りに真似をしなさいと言われてるもんだから、村の者達は必死で真似をしてるのだ。

 

お芋を箸ではさんで口までもっていく先生だが、箸が滑ってお芋が膳の上に転がってしまった。。

はさむより突いた方がいいと、箸で突くもつるりと逃げた。お芋を追っかけまわす先生。。。

村の者達はそれが、礼式と思い込んでるから、真似をする、あっちこっちでお芋を追いかけまわしている。

 

嫌になった先生は、早く帰ろうとしてご飯を食べるが、焦っていたのか鼻先にご飯粒がくっついていた。

それを見た村の者は、一斉にご飯粒を鼻先へ。。。

「いい加減にしろ!」と先生は、隣の男の横っ腹を肘で突いた。

突かれた男は、これも礼式かと隣をドンと突く。また隣も。そして全員がそれを真似たのだが、末席の男の番になると隣には誰もいない。

 

『先生!この礼式はどこへやるだね?』

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