人情噺は元はサゲ(落ち)をつけない続きばなしで、高い芸を必要とするため真打の落語家の演目とされていましたが、現在では、親子や夫婦など人間の情愛を描いた噺を人情噺と呼ぶのが一般的となっています。
古典落語の中でも人情噺は特に人気が高く、落語初心者の方にも分かりやすいストーリーの噺が多いので、これから落語を聞いてみようと思ってる方は是非、人情噺を聞いてみて下さいね。
今回は、数ある人情噺の中でも、初心者の方でも分かりやすく物語に吸い込まれるような名作古典落語を3席ご紹介しますので、気になった演目があれば是非、CD,DVDでご覧になって下さい。
そして寄席の方にも足を運んで、生の落語も味わってほしいと思ってます。
名作人情噺 芝浜
人情噺と言えば「芝浜」と答える人が一番多いかもしれませんね。
夫婦の愛情を描いた屈指の人情噺として多くのファンに愛されている演目です。
腕はいいのに仕事もせず酒ばっか飲んでいる亭主と、そんな亭主に愛想をつかしているけど本当は亭主思いの女房。
笑いあり、でも最後はほろっとする。年末になると聞きたくなる噺ですね~。
「芝浜」あらすじはこちらからどうぞ
名作人情噺 子別れ
こちらも人情噺の大ネタ。「子は鎹」「強飯の女郎買い」「子宝」など別題も多数あります。
子別れは「上」「中」「下」と分かれており、全部演じられる事はほとんどなく、「中」の後半から演じられる事が一般的です。
「芝浜」と同じく酒に溺れた亭主が主人公。しかしこちらは、それが原因で女房と子供に出ていかれてしまいます。
「お酒さえ飲まなければいい人なんだけどね~。」
心を入れ替えた主人公は、酒を断ち真面目に仕事に打ち込みます。そんなある日、三年ぶりに我が子を見つけて・・・
「子別れ」あらすじはこちらからどうぞ
名作人情噺 紺屋高尾(こうやたかお)
最後は、個人的に凄い好きな噺で、「芝浜」や「子別れ」とは違う色のお噺を選びました。
多くの時代劇の題材にもなっている話で、花魁の最高位の高尾丈夫と一介の職人との純愛を描いた物語となっています。
「紺屋高尾」の主人公は酒に溺れる主人公ではなく(笑)もの凄い真面目な男。26歳になっても遊びも知らず仕事一筋の好青年。
そんな真面目な男が、友達に誘われて「花魁道中」を初めて見た時に、あろうことか高尾太夫に一目惚れしてしまう・・・
「紺屋高尾」あらすじはこちらからどうぞ
最後に
大笑いするのも落語の楽しみでもありますが、たまにはくすっと。そしてうるっと噺に酔いしれたい日もありますよね。
もちろんここで紹介した以外にも人情噺はたくさんありますので、色んな噺を聞いて欲しいですね。
そして同じ演目でも、噺家さんそれぞれの色があります。この演目聞いた事あるからとは言わず、同じ演目でも色んな噺家さんの噺を聞く事をおすすめします。古典落語も聞いて感じ方が人それぞれ違うように、噺家さんも人それぞれ解釈が違うのです。
だから同じ演目でも、違う演じ方が生まれるのです。
好きな噺家さんを探すのも落語の楽しみの一つかもしれないですね。
最後の「紺屋高尾」のような遊郭を題材にした廓噺が私は大好きでよく聞いています。是非、廓噺に興味がありましたらこちらもご覧下さい。