古典落語も人情話から滑稽話と色々ご紹介して来ましたが、今回は動物が出てくる話をご紹介したいと思います。
この「ねずみ」は、三代目桂三木助さんが得意としていた演目としても有名ですが、最近では若手の方も演じる事も多いので、聞ける機会も多いのではないかなぁ~と思います。
古典落語 「ねずみ」
この話の主人公は左甚五郎という大工の名人なのですが、私が好きな演目『竹の水仙』や『三井の大黒』にも登場する落語の話では超有名人ですので、是非覚えておいて下さいね。
また、この「ねずみ」という演目は、話自体は難しい話ではないのですが昔の言葉だったり中々世界に入れないかもしれません。ただそれも落語の醍醐味。分からない言葉は調べてもいいですし、歴史を勉強するような感覚で古典落語は聞くと面白いかもしれません。
左甚五郎が登場する古典落語はこちら
あらすじ
名大工、左甚五郎は江戸の日本橋橘町、大工の政五郎の家に10年も居候している。そして居候しているあいだに、「三井の大黒」を彫り日光東照宮陽明門を作った。政五郎が早死にし、その後は政五郎の倅の後見をしていたのだが、ある日ふらりと旅に出る事に。
場所は仙台。そこで、まだ年も若い少年に客引きをされて、ある宿に泊まる事となった左甚五郎。
「寝る時に布団は必要ですか?」少年は甚五郎に問いかけます。うなずく甚五郎に少年は「だったら先に二十文ください」と言う少年。
何か訳がありそうだと思いお金を渡すと、布団屋に行くので先に宿に行ってて欲しいと言われ一人宿に向かう。
少年の宿屋は「鼠屋」といい、一見宿とは思えない小さな小屋。向かいには仙台一の宿屋「虎屋」がある。
父親は腰が抜けていて洗水を出せないから裏の小川で足を洗ってきて欲しいと言う。小川で足を洗い宿へ戻ると、少年がこれから食事の支度をすると遅くなってしまうので、鮨を五人前ほど注文しましょうかと甚五郎に聞いた。そんなに食える訳がないと言うと。私もお腹が空いてるし、父親も鮨が好きだからと少年。
普通なら怒るところだが、甚五郎はお金を渡し、鮨と酒好きなだけ買ってこいと言うのです。
甚五郎はそれとなく少年に事情を聞いた。すると、少年の父、卯兵衛(うへい)は元々は虎屋の主人だったが、5年前に女房に先立たれてその後、女中頭のお紺を後添えにもらったのが、悲劇の始まりだったという。
七夕祭で客同士の喧嘩を止めようと卯兵衛は二階から突き飛ばされ、それっきり腰が立たなくなったという。しかも息子が後妻にいじめられているのが分かり、番頭の丑造(うしぞう)に前の物置を片付けさせ父子で移りすんだが、これも後妻の計画通り、後妻と丑造はできていたのです。まんまと性悪女お紺に店を乗っ取られてしまった卯兵衛。しかし息子がお客を連れてくるからここで商売をやろうというので「鼠屋」を始めたとの事。
甚五郎は一晩かけて木の鼠を彫り上げ、盥(たらい)に入れて網をかけた。『飛騨高山甚五郎作 福鼠 この鼠をご覧の方は是非、鼠屋にお泊りを』と看板に書き甚五郎は出発した。
この看板を見た見物客が手に取ると、木の鼠がチョロチョロと動き出すのです。これが評判を呼び鼠屋は大繁盛。そして虎屋の仕打ちを知った者達はだれもそちらには泊まらない。
虎屋の主人は大金を使い彫物師「飯田丹下」に虎を彫ってもらうと、鼠屋の鼠を見据えるように虎を飾った。
すると鼠屋の鼠はぴたっと動かなくなってしまったのです。
手紙をもらった甚五郎は、鼠屋に向かいねずみに、なぜあんな出来損ないの虎に怯えるのかと尋ねた。すると、ねずみは答えた。
「あれ、虎だったの?猫かと思ってた」
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