名作 古典落語「禁酒番屋」落語 あらすじ

「禁酒番屋」元々は上方落語の演目で上方落語では「禁酒関所」と呼ばれています。東京へは三代目柳家小さんが持ち込んだと言われており、五代目柳家小さんが得意としていた事は有名ですね。
お酒が出てくる落語はやはり面白いですね。しかし酔っぱらう演技はどうやって稽古するんでしょうか?実際にお酒を吞みながら稽古してたら面白いんですけどね(笑)

古典落語 禁酒番屋

最近よく話題にあがる若者の酒離れ。仕事が終わっても真っすぐ家に帰り、家でも酒を飲まない。会社の飲み会にも参加しないなどお酒を飲む習慣もないようです。でもそれはそれで別に悪い事ではないですよね。飲まなきゃ飲まないにこした事ないですから。

その昔、ある藩のお殿様が藩中の者に禁酒を命じた事がありました。酒好きの家中達はもちろん困ったのですが、何より一番困ったのは酒屋だったんです。

酒離れで一番辛いのは酒屋さんなのかもしれないですね・・・

あらすじ

ある藩で、酒を飲みすぎた藩士同士がささいな事から喧嘩を始めて刃傷沙汰を起こしてしまった。それを重くみた殿様は藩中の者に対して禁酒命令を出した。酒好きの家中は驚いたが、それよりも衝撃を受けたのは出入りの酒屋だった。

しかし禁酒も長くは続かないもの。しばらくすると外で一杯引っかけてから門を潜る者が出てくるようになってしまった。そんな事が殿様の耳に入ったら一大事なので重役達は門のところに番屋をこしらえ藩士が酒気を帯びてないか、商人が酒を持ってないかを厳しくチェックするようになり、いつしかそれが「禁酒番屋」と呼ばれるようになった。

家中一の酒好きの近藤は今日も町の酒屋で酒を飲んでいた。しかしこれ以上飲んだら禁酒番屋でバレてしまう。まだ飲み足りない近藤は酒屋の店主に夕刻までに拙者の小屋に一升届けてくれと注文を出す。

番屋で調べられるので出来ないと断るも、金に糸目はつけないから工夫して持ってこいと。店を後にしてしまった。

横町の駄菓子屋に事情を話し、カステラの一番大きい折を買い中身を出し五合徳利を二本詰め、カステラのご進物と言えば通れるだろうと考えた。しかし上手くはいかないもの、中身を見られ水カステラだの弁解をしたが、取り調べだと言って一升全て飲まれてしまった。。

「偽り者め!出ていけ!」

次は油だと言って通ろうと試みるも、やはり見破られ一升飲まれた上に叱られた。。。タダで二升も飲まれて腹の虫が収まらない店主。こうなれば仕返しをしてやると。小便を小便だと言って持って行く事にした。

案の定、止められてしまったが予定通り。これは何かと言われ小便だと言うと。最初はカステラ、次は油。そして今度は小便か。控えておれ取り調べる。うむ。今度は燗にしてきたなとか性の悪い泡が立っているとかブツブツ言いながら飲もうとしたが。
「こ、これは小便ではないか!けしからん!!!」
『ですから、初めから小便だとお断りを・・・』