名作 古典落語「お血脈」落語 あらすじ

本日、ご紹介する落語は「お血脈」こう書いて「おけちみゃく」と読みます。ちょっと今までとは変わった噺をと思い選んだのですが、説明が多くなり難しい噺かもしれません。というのも、このお血脈は『地噺』と呼ばれるもので、噺の中に会話というものがほとんど無く、演者が淡々と語る噺なのです。ですので大爆笑するような噺ではなく聴かせる噺といった感じです。

非常に短い噺ですが、噺家さんは皆さんオリジナルの味付けをしており、中にはこの短編を30分を超える長編にしてしまう噺家さんもいたりして。でもそれが落語の楽しいところであり、何度聞いても面白い。同じ演目でも違う噺家さんも聞いてみたくなるのも落語のいいところですね。

以前ご紹介した「あたま山」も同じ地噺と呼ばれるジャンルになります。是非そちらもご覧下さい。

名作 古典落語「あたま山」あらすじ

2016.12.05

古典落語 お血脈

本多善光という者が難波ヶ池のほとりを歩いていると、可愛い声で「ヨチミチ、ヨチミチ」と呼ぶ声がした。池の中に一寸八分の阿弥陀如来があり、これが「ヨハチンチュウヘマカリコチタイ(余は信州へ参りたい。案内してくれ)」と言った。体が小さいため舌っ足らずなのだ。

そして本多善光がこの仏を収めたのが善光寺。

その昔善光寺では、血脈のご印というのがあり、お金を収めるとお坊さんが南無阿弥陀仏と言いながら額にお血脈の印を押してくれるのだが、これを押してもらうとたちまち罪障消滅し、極楽に行けるというありがたいものだった。

あらすじ

善光寺のお血脈のおかげでみんな極楽に行ってしまうので、地獄はたいへんな不景気。財政難に陥ってしまったので緊急の会議が開かれたのだった。

地獄の惨状は、もちろんお血脈のせいな訳で、あれを盗み取る以外には解決策はないであろうという結論が出た。早速、人選に入ったがさすがは地獄よりどりみどりである。そこで白羽の矢が立ったのが石川五右衛門だった。

大王じきじきに血脈の印を盗むよう頼まれた五右衛門、そんな事、赤子の手を捻るより簡単な事だと引き受けた。

久しぶりに娑婆に出た五右衛門は、昼間に善光寺に参拝するように見せかけ中の様子を確認した。そして夜になるといとも簡単にお血脈の印を盗んでしまったのである。

ありがてぇ、かたじけねぇ。まんまと首尾よく忍び込み奪い取ったる血脈の印。これさえあれば大願成就。と額に押していただいてスーっと極楽へ。