藁人形とは、その名の通り藁を束ねたり、編んだりして人間の形をした人形ですが、怖いイメージを持っている方が多いのではないでしょうか。
神社の御神木に憎い相手に見立てた藁人形を釘で打ち込むという丑の刻参りのイメージが強いですからね。
古典落語「藁人形」も、もちろん復讐が一応テーマになっていますが、最後のサゲ(落ち)の言葉遊びもあって怪談噺って感じでもないですし、人情噺って感じでもないですし、何だか不思議な噺となっております。
古典落語 藁人形
この物語の主人公は「西念」
この西念。以前ご紹介した古典落語「黄金餅」にも登場したので、覚えてる方いるかと思います。
まだ「黄金餅」を聞いた事がない方はこちらもおすすめの古典落語ですので是非聞いてみて下さい。
あらすじ
千住の裏長屋に住む、乞食坊主の西念が若松という女郎屋に出入りするようになり「おくま」という女と親しい仲になった。
なんでも、おくまの父親と顔がそっくりらしい。
おくまは、神田小川町の糠問屋の一人娘だったが、男ができて駆け落ちしていた。久しぶりに江戸に帰ってきたら、両親もすでに亡くなっており、実家もなくなっていた。
結局、女郎屋に身を沈める事になってしまったのだという。
ある日、相談があると呼び止められた西念。
近々、旦那に身請けされる事になって、商売でも始めようと探していたら、駒形の絵草紙屋が居抜きで出ていたから、旦那が旅から戻ったら買うつもりでいる。その時は引き取って父親同然に世話をするからと言ってくれた。
そこで、相談というのが、絵草紙屋に買い手がついたので、先に金を払わなければ、そっちに売ってしまうよと言われたのだという。
旦那が帰ってくるまで、もう少しかかるので20両貸して欲しいとの事。
西念は、すぐ長屋に戻り、食うものも食わず貯めた20両を引っ張り出してきて、おくまに貸したのだった。
数日後、風邪をひいた西念。
薬を買う金もないので、おくまに金を返してもらおう訪ねると、金はないし、返すつもりもないと言う。。。
「お前が金を持ってるって話を聞いたからだまし取ってやったのさ」
『おくま、、、覚えてやがれ!!』
長屋に戻った西念は、閉じこもって外に出る事がなくなってしまった。
住人達は気になってはいるものの、誰も声を掛けようとはしない。
そこへ、甥の甚吉が訪ねてきた。旅に出ることになり、しばらく戻れないから顔を見せに来たのだ。しばらく話をしていた二人だったが、用を足す為に西念が立ち上がる。
ちょっと厠へ、西念が部屋を出る時に、絶対に鍋の中は見るなと、甚吉に念を押す。
そんな事を言われたら見たくなるのが人間。
中をのぞくと藁人形が油でぐつぐつと煮だっている。。。
帰ってきた西念。見てしまったのかと嘆く。
『これで、俺の念力もおしまいか。。』
一体何があったんだと問いただす甚吉。
一部始終を話した西念に甚吉は。
「でも、藁人形を油で炒めてどうするんだ?釘を打たなきゃ」
「釘じゃ効かねぇよ。糠屋の娘だから」
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