今回ご紹介する古典落語は「二十四孝」です。
話のテーマは親孝行。親にとっては子がいくつになっても子供、可愛いものですが、子供にとっては成長と共に親離れしていき中には親不孝者と呼ばれる子も出てきます。
「親孝行したい時には親はいない」なんて言葉もありますが、自分が親になって初めて親の愛、親の苦労に気が付く事もあるんですよね。
古典落語 二十四孝
古典落語は、演者によって物語の進め方、登場人物、サゲ(落ち)まで十人十色です。でもそこが古典落語の一番の魅力であり、何度聞いても楽しい、この噺をこの落語家はどうゆう噺にするんだろう?といった楽しみもあるのですが、この「二十四孝」も演者によって様々な味付けがされる演目です。
音源も無いに等しいので、寄席で聞けたら嬉しい一席ですね。
あらすじ
江戸に住む大酒飲みの八五郎は長屋でも評判の乱暴者。この日もささいな夫婦喧嘩から女房に手をあげたあげくに実の母親を蹴りつけたというのだから穏やかじゃない。
その話を聞いた大家は怒り、お前みたいな親不孝者は今すぐこの長屋から出て行けと叱った。
しかし八五郎は応じない。そんな八五郎に大家は親孝行がいかに大切か説き始めた。
「その昔、唐土(もろこし)に王祥、呉猛という若者がおった・・・」
大家は唐土の、特に孝行の優れた24人を取り上げた書物「二十四孝」のエピソードを話すのだが、八五郎はふざけて真剣に聞こうともしない。。。
大家は昔は親孝行をしたものには奉公所から褒美が出たものだ、もしお前が親孝行したら小遣いをやろうと言うと、八五郎が豹変。。。親孝行してきます、と飛び出した・・・
帰宅した八五郎はさっそく、クソババァではなく母上と呼んでみるのだが、気味悪がられる。
王祥の親孝行の奇跡、親が鯉が食べたいと言うが貧乏で買えない。。そこで池に行き、氷の張った上に裸で横になり体温で溶かしたら、鯉が一匹出て来た。まさに親孝行の徳。というエピソードを思いだし、母親に鯉食べたいか?と聞くも川魚は嫌いだと言われる八五郎。
その後も大家から聞いた話を色々試すのだが、話がごっちゃになり全く上手くいかない。
することがもう無いなと思っていた八五郎だったが、呉猛(ごもう)のエピソードを思い出した。
呉猛の家は貧乏で蚊帳が無く、母が蚊に悩まされて眠れないのを心配し、安酒を買ってきて裸になり酒を全身に吹き付けた。蚊は酒の匂いに集まる為、呉猛の身体もただではすまない筈、しかしその夜は蚊が一匹も出なかったという。親孝行の奇跡。
八五郎は寝る前、俺もやってみっかと酒を身体に吹き付けたのだが、残った酒がもったいないと飲んでるうちに止まらなくなり泥酔。。。ぐーぐーと寝てしまった。
翌朝・・・
「おおっ!こいつはすげぇ。ひとつも刺されてねぇ。昨夜は一匹も蚊が出なかったんだ。これが親孝行の徳ってやつだ。なぁおっ母さん!」
「なにを言ってるんだい。あたしが夜通し団扇であおいでたんだよ」
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