本日、ご紹介する古典落語は「蜘蛛駕籠」です。
今でこそ交通手段は電車、バス、自転車など数多くありますが、その昔は移動といえば駕籠が主流でした。駕籠をはさんで前と後ろに人が立ち棒を担いで運ぶ、ドリフのコントでも見た事がある方も多いのではないでしょうか?
しかしそんな駕籠も、明治時代に入ると人力車の登場によって交通手段としての役目は終わってしまったようです。
古典落語 蜘蛛駕籠
古典落語「蜘蛛駕籠」は上方落語の演目で東京には初代柳家小はんが持ち込んだとされています。
別題で「住吉駕籠」とも呼ばれ、駕籠屋と客のやり取りを詰め込んだオムニバス形式を取っている作品となっています。
東京と上方、また演者によっても構成が変わる為、聞き比べるのも楽しい演目ですね。
あらすじ
店の前で駕籠屋の二人が客引きをしている。
一人はこの道の大ベテラン、もう一人は新米でどうもぼんやりとしている男のようで・・・
「こら!もっと威勢よくやるんだ。へい!かご!お客さ~ん!」
「へい!分かりやした。へ~い!かご~!」
「これ!駕籠屋」
「へい!お侍様。なんでございましょう」
「駕籠は二丁であるぞ」
「はは~っ。おい!相棒!上客だぞ!」
「前の駕籠が姫様、後ろが乳母様じゃ、両掛けが二丁で、共が五人ほど」
「へへ~っ。おい!相棒!すぐに仲間に声を掛けてこい!いい客だってな」
「そのような一行がこの辺りを通らなかったか?探しているのだが」
「えっ。。見ませんけど。。。」
「そうか茶店で休んで待つとするか」
「おい!戻って来い。客じゃなかった・・・」
次に来たのは酔っ払い。
ほっとけというのに新米が声を掛けてしまう。
「それでよ~川崎大師にお詣りに行って帰りに船乗ろうとすると、後ろから『あら熊さん』って呼ぶじゃないか。誰かと思ったら、幼馴染みの辰公の女房でよ、彼女に誘われて幼馴染みのとこでご馳走になってたんだ。。。それでよ、川崎大師にお詣りに行って帰りに船乗ろうとすると、後ろから『あら熊さん』って呼ぶじゃないか。誰かと思ったら、幼馴染みの辰公の女房でよ、彼女に誘われて幼馴染みのとこでご馳走になってたんだ。それでよ・・・・・」
同じ話の繰り返しで全く話が進まない・・・
「どうなってんだ、今日は全く客がつかねぇ!」
そんな時、急ぎの客が現れた。
「駕籠屋さん、金をはずむから急いでやってくれよ」
「へい!行くぞ~!エッホエッホ」
威勢よく飛び出したはいいが、駕籠がやたらに重く調子が出ない。というのも、実は乗っている客は二人だったのだ。駕籠屋を騙し運賃を半分に済ませるという魂胆だ。
ばれないのをいいことに相撲の真似事を始める二人の客。すると、すとーんと底が抜けてしまった。
降りろ弁償だと騒ぐ駕籠屋に謝る客。結局、おれらも中で担ぐからと一緒に走る事に。。
「ねぇねぇあれは何?見て、凄い駕籠が走ってるよ。中から足が四本出てる、全部で八本足だ」
「ああ、あれが本当の蜘蛛駕籠だ」
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