名作 古典落語「転失気 てんしき」あらすじ

普段聞き慣れている言葉でも、難しい別の呼び方があるものって意外と多いものです。
本日ご紹介する転失気(てんしき)もそういった言葉の一つです。

普段会話している中で、分からない言葉が出てきても中々聞き返す事って出来なかったりしますよね。そんな日常にあり得る光景を見事に笑い話にした「転失気」落語初心者の方にもオススメの分かりやすく笑える話ですので是非お聞き下さい。

古典落語 転失気

この話のテーマは「知ったかぶりの悲劇」とでもいいましょうか。ある程度の年齢になり地位もあったりすると、知らないとは言えない状況が出てきてしまう事もあったりするんですよね。

今でこそ分からない事があればスマートフォンで何でも検索出来る世の中ですが、昔はそうはいきませんでした。どうにかして言葉の意味を知りたいと奮闘するが、悪ガキのいたずらにまんまとハマったりしてしまったり。。

あらすじ

ある寺の和尚が体調を崩したので、医者に診てもらったところ、どうもお腹が張っているようだが、転失気(てんしき)はありますかな?と聞かれた。

正直意味が分からない和尚。しかし負けず嫌いの和尚は知らないと言えない。『転失気はありませんな』と答えてしまう。

寺に帰った和尚は、珍念を呼びつけて『珍念よ、おまえは転失気を知っているな?』
「存じませんが、転失気とは何ですか?」
分からないなら近所の人に借りてきなさい。と珍念に転失気を借りてくるように命じたのです。

しかし、近所の人は知ったかぶりをして言う事がバラバラで珍念には転失気が分からない。そして珍念は和尚の薬を取りに医者を訪ねた際に転失気とは何かを尋ねた。

医者が言うには転失気とは、気を転め失うという言葉から転失気、つまり屁(おなら)の事だと教わった。

和尚は転失気を知らないと悟った珍念はあるいたずらを考える。薬を持ち寺へ帰ると和尚が転失気は分かったか?と聞いてきたので、珍念は転失気とは盃の事だそうですよ。と嘘をついた。

そうだ転失気とは盃の事だ。酒を吞む器と書いて呑酒器(てんしゅき)というのだ。よく覚えておきなさい。と和尚。

翌朝、医者を訪ねた和尚は、昨日は転失気がないと言ったんだが実はありました。ごらんにいれましょう。珍念や呑酒器を持っておいで。珍念は言われた通りに呑酒器を持っていくが笑いが止まらない。

呑酒器を見た医者が、これは盃ですな。わたくしどもは転失気は放屁の事を言いますが寺では盃の事をいうのですか?

ここで和尚は珍念に一杯食わされたと悟る。

「珍念、こんな事で人を騙して恥ずかしいと思わんのか?」

「屁でもありません」

最後に

最後のサゲ(落ち)は人それぞれ変えて演じていますね。前座噺とも言われる演目なので聞く機会も多く分かりやすく面白い噺です。こうゆう噺を名人が高座で演じるとまた新鮮で面白いんですよね。

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