古典落語「山崎屋」は、吉原遊郭を舞台にした廓噺ですが、先日ご紹介した廓噺とは違い落語初心者の方には非常に難しい演目かもしれません。
というのも私が初めて聞いた時は、ある程度古典落語を聞いていたのにポカーンとなってしまった思い出がある話だからです。
物語のサゲ(落ち)も普通に聞いたのでは全く意味が分からないですからね。
現在ではサゲに繋がる部分をマクラでしっかりと説明してから、物語に入っていく事が主流となっていますのでCDやDVD、又は寄席で山崎屋を聞く時はマクラからしっかり集中して聞いておく事をおすすめします。
古典落語 山崎屋
当時の吉原は、日本橋より北にあるということから北国と呼ばれていました。
大見世には何十人という遊女がいたが、そのなかでも花魁(おいらん)と呼ばれるのはほんの一握り。
昼夜三分(一両の四分の三)の玉代(芸者や娼妓などを呼んで遊ぶための代金。花代)を出せば、花魁見習いである新造つきで買う事ができたという。
あらすじ
横山町の鼈甲問屋山崎屋の若旦那は、吉原の花魁に入れ込み、金は湯水のように使う道楽者。
ある日、若旦那は番頭九兵衛を呼び出し、金を都合してほしいと頼んだ。
もちろん九兵衛ははねつけたが、若旦那には秘策があった。というのも堅物で通っている番頭が女を囲っている証拠を握っていたのである。
観念した九兵衛は金を工面する為、若旦那に協力することになったのだが、九兵衛には何やら策があるようである。
若旦那にはしばらく大人しくしてもらい、番頭が親戚連中をまわり金を借りて花魁を請け出し町内の鳶頭(かしら)に預ける。
晦日(みそか)になると大きな勘定は九兵衛が集金に行く事になっているが、その日に限って若旦那に頼む。父親はもちろん、あんな道楽者に金の使いは任せられないと反対するだろうが、もしその金で遊んでしまうようなら勘当すればいいと勧めるというものだ。
さて、金を受け取った若旦那。財布ごと鳶頭のところに預けて帰ってくる。
落としたと言っても、もちろん信じない父親。そこへ鳶頭が駆け込んで「拾った財布が山崎屋のものだったので届けました」と言って帰る。
落とした金が戻ってきたので大旦那は大喜びで礼に行くだろう。その時、花魁に御殿女中という風采でお茶を運ばせるのだ。
大旦那が誰かと尋ねたら、鳶頭の女房の妹で、長い間お屋敷勤めをしていたが、お暇をいただいて帰ってきたばかり。そろそろどこかに縁づけたいのだが、いいところがあればお世話をお願いしますと言う。
そう言えば、大旦那の事だ倅の嫁にと言うはずだ。
番頭の策は企んだ通りに進んで一組の夫婦が誕生した。
そんなある日、大旦那は嫁を呼んで尋ねた。
「お宅のお嫁さんは、どちらのお屋敷に勤めていたのかと聞かれ返事に困ってしまった。どこのお屋敷だった?」
『北国でございます』
「北国といえば加賀さまか?お女中の数も多いのだろうな」
『三千人でございます』
「へぇ、たいしたもんだ。それで参勤交代の時は道中はするのかい?」
『夕方に出まして、最初に伊勢屋へ行って、大和、長門、長崎・・・』
「ちょっとまった。男の足だってそんなに歩けるもんじゃない。諸国を歩くが六十六部、足の達者が飛脚屋と、お前には六部に天狗がついたな」
『いいえ、三分で新造がつきんした』
題名で古典落語のあらすじを検索出来ます!隠れた名作を見つけて下さい!
古典落語の名作はまだまだ他にも!