名作 古典落語「火事息子」落語 あらすじ サゲ(落ち)解説

今回は江戸の名作古典落語を一席ご紹介したいと思います。

演題は「火事息子」ですから正直どんな噺かは想像もつかないですよね。でもこの「火事息子」人情噺なんです。

いつまで経っても親にとって子供はやっぱり子供。親の愛を描いた名作古典落語です。

今回ご紹介する「火事息子」は物語のサゲ(落ち)にふれています。ご覧の際はご注意下さいませ。

もうひとつ、中々音源が探しにくい演目ではありますが、是非音で聞いて欲しい落語でもあります。高座で聞けたら幸せものですよ。

古典落語 火事息子

江戸の華ともいわれた火事と喧嘩。命をかけて火焔に立ち向かう「火消し」は鯔背(いなせ)と勇み肌の象徴として絶大な人気があったそうです。

神田三河町の伊勢屋という質屋がこの物語の舞台。

質屋という商売はお客の大切なものを預かっていますから、火事になると一大事なのです。質蔵に火が回らぬよう真っ先に目塗りをするのです。

出入りの左官に頼めれば問題ないのですが、いつもすぐに飛んでこれる訳ではありませんから、旦那をはじめ店の連中総出で目塗りにかからないといけないのです。

あらすじ

寒さも増して来た11月のある日。伊勢屋の近くで火事が起きた。

皆総出で目塗りをといきたいところだが所詮素人、、旦那は指示するばっかりで何も出来ないわ、番頭は高いところが苦手で震えあがっている、、小僧は大きな土の塊を作る事すら出来ない。。

上でも下でもオロオロしているところに、体中に見事な刺青を彫っている一人の火消し人足が屋根から屋根を平地のように走り颯爽(さっそう)と現れた。

「番頭!俺だよ!」

見上げれば何と!親の反対を押し切って臥煙(がえん)と呼ばれる火消し人足になった為に勘当された若旦那の徳三郎であった。

火事はすぐに消えるから目塗りの必要はないが、稼業柄しておいたほうがいいなと目塗りをする為の両手を使えるようにしてくれた。

しばらくすると徳三郎が言ったとおり火事は収まり、下では火事見舞い客の帳付けをしていた。

その見舞客の中の、父親の名代でやってきた若旦那を見て、旦那はため息を漏らす。

「いい倅さんだねぇ。。おかみさんを持って子供も出来たと。親孝行なもんだ。それにひきかえうちの倅は全く、、どうしようもねぇ。。。」

なんてしんみりしてる所へ、ようやく番頭が降りて来た。人足に礼を言わねばと言う旦那に、そう言うと思ったので連れて参りましたと番頭。

「徳・・・」

思わず声が出そうになるのをぐっとこらえる旦那。勘当した倅に会っては世間様に申し訳がない。。

しかし、ずっと会いたかった倅を前にやせ我慢が続く訳もなく、、本心を隠して徳三郎に小言を投げつける旦那だった。

そこへ話を聞きつけた母親が現れたのだが、まぁこちらは大喜び。あんたを思い出さない日はなかったなどと喜びを隠せない模様。

「法被(はっぴ)一枚じゃ寒いから着物をやってよ」

「勘当した倅に着物なんかやってどうするんだ。そんなものは捨てちまぇ(拾うのは勝手だが・・・)素直になれない頑固な父親である。

しまいには母親が、黒羽二重の紋付きを着せてなんて言い出した。

「おい、勘当した倅にそんな恰好させて何処へ連れてく気だ。」

『火事のおかげで会えたんだから火元へお礼に行かせましょう』

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