名作 古典落語「大山詣り」落語 あらすじ サゲ(落ち) 解説

ひと昔前は夏と言えば海!だったような気もしますが、今は山登りがブームのようです。

仲間内でワイワイとアウトドアするのも楽しいものですが、楽しいひと時にはお酒が付き物。。折角の楽しい時間もお酒によって台無しになってしまうというのは避けたいものです。

古典落語 大山詣り

その昔、江戸では「大山詣」というものが流行していたそうです。

山岳信仰(どちらかと言うと、息抜きのような感覚)、山登りをして神社を参拝する。

大山(神奈川県)は、江戸からも近いので江戸の人々は気軽にレジャー感覚で行っていたそうですよ。

ただ、それゆえに酒を飲んでいい気分になってトラブルを起こしてしまうなんて事も度々あったようですが・・・

あらすじ

さて今年も、皆で大山詣りに行こうか。なんて話になったのだが、参加者の一人である熊五郎は毎年、酒に酔って皆に迷惑をかける問題児。

今年は掟を定めようという事になった。その掟とは。。。

『腹を立てた者からは二分の罰金を取り、喧嘩して暴れた者は皆で丸坊主にしてしまう』というもの。

この掟が効果があったのか、行きは何事もなく無事にすんだのだが、帰り道・・・

宿屋に泊まったまでは良かったが、風呂場で酒に酔った熊が喧嘩をおっぱじめたという知らせが届いた。

急いで駆けつけると、熊に殴られた奴らが二分払うから熊を約束通り坊主にしてくれと言う。明日は江戸なのだからと何とかなだめてその場は収まったのだが、皆が寝静まったその夜。

熊に殴られた連中は、剃刀を持って熊の部屋に忍び込み酔いつぶれて寝ている熊を丸坊主にしてしまったのだ。

翌朝の事。18人分の膳が並んだが、昨日熊を丸坊主にした連中が熊の膳を誤魔化した為、一行は熊五郎がいない事に気づかず出発してしまった。。

そして熊五郎が目を覚ましたのは、皆が出発してから数刻後の事。

起きて、頭を触った熊は自分が坊主にされている事に気が付く。しかし、夕べの風呂場での大立ち回りは何一つ覚えていない。。

「しかし、ひでぇ奴らだ。向こうがそうゆう了見ならこっちにも考えがある」

熊は、江戸までの通しの駕籠を用意してもらうと、頭に手拭いを巻いて江戸の我が家まで一目散に帰ったのである。(先に出発した連中を追い抜いて。。。)

熊は家に着くやすぐに、長屋のかみさん連中を集めた。

「帰りに金沢八景を見ようという事になり、船酔いがひどいので自分は遠慮したが、連中は船を仕立てて出発したが、その船が沈んで全員死んでしまったんだ。」

「俺も死のうと思ったが、お前さん達に知らせないとと思って帰ってきたんだ」なんて嘘をペラペラ。。

熊の事だ、いつもの法螺話だ!なんて誰かが笑い飛ばすと。。

「これが証拠でぇ」と手拭いを取って、坊主頭を披露。

長屋のかみさん連中は、これで信じてしまった。中にはもう生きていけないから身を投げ出すと言い出す者まで出て来る。

「それほど思ってるんなら、頭を丸めて尼さんになって朝晩念仏を唱えてやるんだ。」

だったら尼さんにしておくれと、頭を丸める女房達。結局、熊の女房以外のかみさん全員坊主に・・・

長屋の連中が戻ってくると、家には忌中の札。しかも中から念仏まで聞こえてくる。

自分の女房が熊五郎に騙されて坊主にされたと分かると皆怒り狂ったのだが、その中で一人ニコニコ笑ってる男がいた。

「何を笑ってんだ!あんたの女房も坊主にされたんだぞ!」

『いやいや、お山は晴天。家に帰りゃあ、みんなお毛が(怪我)なくっておめでたい』

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