名作 古典落語「死神」あらすじ

数ある古典落語中でも私がお勧めする演目「死神」とにかくサゲのパターンが豊富で、噺家さんによって全く違う結末になるのも珍しい話ですね。少し前にお笑い芸人の千原ジュニアさんが「死神」を披露してましたが、千原ジュニアさんならではのサゲになっており、とても面白かったのを覚えてます。

古典落語「死神」

元はヨーロッパのグリム童話の話を初代三遊亭圓朝が日本に輸入し翻案したものと言われています。

実際、資格もない人間が医者になるというのは突拍子もない話ですが、江戸時代では、医者になるのに資格は無く、多くの医者が存在したようです。もちろんそれだけ多くの医者がいたのですから、中にはヤブ医者も多かったようで。

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あらすじ

仕事もせず、借金ばかり作る亭主。女房はそんな亭主に愛想をつかし怒りをぶつけ家から追い出すのです。

追い出された亭主は、死んでやろうか?なんて考えながら町を歩いています。

「どうせ俺には貧乏神どころか、死神が付いてるんだ」なんて呟いていると、目の前に本物の死神が現れたのです。

驚く亭主に死神は「お前を死神が見えるようにしてやる。そして病人の所へ行けと。病人の枕元に死神が居たら、それは寿命だ。もう助からない。逆に足元に死神が居たら、まだ寿命は残っている。その時は死神を追い払う呪文を教えてやるから、その呪文で死神を追い払えばいい」と亭主に医者になる事を勧め死神は消えた。

亭主は大喜びで家に帰り、女房に俺は医者になる。これで大金持ちだ!なんて言うもんだから、怒りを通り越して呆れる女房。

そして医者の看板を掲げると、すぐにお客が。。主人が長らく病を患っており、どうか先生に診てもらいとの話。

とりあえず行って見ると、病人の足元に死神の姿が。「これは、しめた!」と死神に教わった呪文を唱えると、主人の足元に居た死神は消え、主人の病は治り元気になってしまいました。

多額の報酬をもらい、有頂天になる亭主。しかも、この話が広まり名医として仕事の依頼が後を絶ちません。あっという間に大金持ちになった亭主ですが、元は借金ばかりで仕事もしないダメ亭主。またすぐに貧乏に逆戻り。。

そんな時、ある名家からのご依頼が舞い込んでくる。話を聞くとご隠居の容態が思わしくないとの事。さっそく行ってみるが、死神はご隠居の枕元に。。

「これは私にはどうしようもございません」と引きさがろうとしましたが、そこを何とかと目の前に、目も疑うような大金を差し出すのです。

これには亭主も簡単に引き下がる訳にはいきませんでした。そこで亭主は、死神が居眠りをしてる間に布団を回転させ枕元の死神を足元に、そこで呪文を唱え、死神を消しさりました。するとご隠居は元気になり、亭主は大金を受け取る事が出来ました。

「こうすれば、永遠に金儲け出来るなぁ〜」なんて思いながら、帰り道を歩く亭主。そこへ、死神が現れます。

付いてこいと、言われるがまま暗い洞窟へと入っていく亭主。その洞窟には、大量のロウソクが置かれていました。

「このロウソクは何だい?」亭主は死神に尋ねます。死神はこれは人々の寿命だと答えるのです「じゃあ俺のロウソクはどれだい?」死神は今にも消えそうなロウソクを指差したのです。「そんなバカな話があるか!俺はこんなに元気だぞ!」

「だから枕元の死神には手を出すなと言ったんだ。お前はご隠居の寿命と自分の寿命を入れ替えたんだよ」と死神。

「そんな・・・助けてくれ。何か方法はないのか?」亭主はパニックになっています。

このロウソクをお前のロウソクに継ぎ足せばお前の寿命は伸びるぞと死神は言うのですが・・・

最後に

私は、落語は噺家さんによって色が違うので、同じ演目でも色んな噺家さんの話を聞いて欲しいと毎回言ってるのですが、この「死神」という演目は、噺家さんによってサゲ(落ち)が全く違うのです。

極端な話、ハッピーエンドとバッドエンドくらいサゲが違う。これが「死神」という演目の魅力でもありますね。是非、色んな「死神」を聞いて欲しいと思います。

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