名作 古典落語「悋気(りんき)の火の玉」あらすじ サゲ 解説

本日ご紹介する「悋気の火の玉」は、吉原遊郭、妻と妾といった古典落語ではお馴染みの設定で非常に人気のある演目ですが、今までご紹介した廓噺とは違った面白さのある噺になっています。

まぁ現実でこんな事になったら笑ってはられませんが、そこは落語。大いに笑って楽しんで頂けたらと思います。

この噺はサゲ(落ち)まで書いています。ご覧の際はご注意下さいませ。

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2017.03.31

古典落語 悋気の火の玉

「悋気の火の玉」を演じられていた落語家さんと言えば、五代目三遊亭圓楽さんや八代目桂文楽さんがあまりにも有名ですね。

ちなみに演目名にある「悋気(りんき)」とは、嫉妬(ヤキモチ)の事。文楽さんのマクラで「妾は、男を少しでも若く見せようと男の白髪を抜き、本妻は少しでも夫に貫禄をつけようとその男の黒い毛を抜く。。二人の間を行き来するうち、主はすっかり丸坊主になった」なんて話にもあるように、妻と妾では嫉妬にも違いがあるんですねぇ。

あらすじ

浅草花川戸で鼻緒問屋を営む立花屋の主人は、女房以外の女は知らないといった堅物な男。

ある日の事。仲間達に誘われて付き合いで吉原に行った主人だったが、案の定ハマってしまった。。中年になってからの女遊びは危険なんてよくいったものである。

帰ってからも、その事が忘れられない主人。。その後は二週に一度、週に一度、、しまいには毎日のように通うようになってしまった。。

ただそんな事を続けてはいくら金があっても足らない。でもそこは商人、気に入った花魁を身請けした方がずっと安上がりだと、根岸の里に妾宅を構えて囲う事にしたのだ。

しかし、月のうち本宅が二十日、妾宅に十日も泊まれば女房が気づかぬ訳がない。

調べると案の定、旦那は妾を囲っている。真実を知った女房は、帰宅した旦那が疲れたなんて言うもんなら、、

「えぇ、お疲れでございましょうねぇ」

「お茶を入れてくれないか?」

「あたしが入れたお茶では、美味しくございませんでしょ」

こんな調子だと旦那も気分が悪い。結局、妾宅に二十日、本宅が十日と完全に逆転し、いつしか本宅には寄り付かなくなってしまった。

そうなると今度は本妻が収まらない、全ては根岸の妾のせいだ呪い殺してやると丑三つ時に杉の木に藁人形をカチーン、カチーンと五寸釘で打ち付け始めた。

それを知った妾。あたしが頼んで来てもらってる訳じゃない、旦那が勝手に来るんだ。そんな事で恨まれる筋合いはない。と六寸釘を買ってきてカチーン、カチーン。

これが女房の耳に入ると、七寸釘でカチーン。すると妾が八寸釘でカチーン。女房が九寸釘でカチーンとエスカレート。

ついにはそれぞれの念が通じたのか妾がころっと亡くなったのと同時に本妻も亡くなってしまった。。。

一度に二つも葬式を出す事になった主人。ただ事はそれだけでは収まらなかった。

花川戸から出た火の玉が根岸へ、根岸から出た火の玉が花川戸へ向かい大音寺前でぶつかりガチーン!火花を散らす騒動になってしまったのだ。

慌てた主人はお寺の和尚にお経をあげてもらったのだが収まらない。和尚の提案で、大音寺前で主人が両方の火の玉を慰め双方が落ち着いたところでお経をあげれば成仏出来るかもしれないというので、大音寺前に向かう主人。

まずは、根岸から火の玉がやってきた。「ここだよ」と声を掛けると火の玉はすーっと止まった。煙草を吸いたかったので、火の玉につけてもらい話をしていると妾の陰火は納得した。

そして今度は花川戸から飛んで来た火の玉に、同じように話しかけ、煙草の火を借りようと煙管を近づけると。。

『あたしの火じゃおいしくないでしょ!フン!』

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